第47話 決戦Ⅱ

「ねえ、君本当に未来ちゃんの修理品。おかしいよねえ。弱いなあ弱いねえ。【ワンダー・トリップ・ラヴァ―】」バレエ=メカニック

五月の日差しが、オレの足元を照らす。タチバナミナトの背後には、群衆のどよめきと、怪我を負った亜鈴や人間もどきヒューマイムがいた。

おかしい。

数日前会ったばかりのこの男がオレとひすいさんと同じ「バレエ=メカニック」を使っているのだろう。

大きく息を吐く。今はこの目の前の男を無力化することが重要だろう。羽織の青年が何故、彼女たちの手術を請け負ったのか。タチバナミナトは狗飼茅に何の奏術を施して、腐敗しない死体に作り替えたのか。そして、何故オレと同じ奏術を使うのか。

機械式舞踊バレエ=メカニック 第九楽章 破砕】

口の中で言葉が消えないうちに、抜刀する。刀身に破砕のエネルギーを乗せて思い切り振る。タチバナミナトをめがけたはずが、彼が視界から消える。

刹那、色白の顔が近づいた。頭を掴まれる。

「君はボクに注意を向けすぎだよ。だから、未来ちゃんも見失うし、周囲の関係ない人物も巻き込む。まあ、死んだかどうかは関係ないよね。いくらでも直せるし」

オレは、右ひざで青年のみぞおちを蹴る。よろけた隙に、落とした刀を拾い上げ、体勢を立て直した。

「ボクとおしゃべりしてくれないの、悲しいな」

小さい子どものような悲しそうな表情を浮かべる。

意味不明な人物と話す気はなかった。

「まあ、いいか教えてあげる。屯所が吹き飛んだこと以外はほかの人は気が付かないよ。ボクだって魔眼持ちだ。注意を集める魔眼。未来ちゃんの右目のオリジナルだよ。だから、ボクは君しか視覚情報を処理し続けるし、他の人物はボクを見つけることができない。未来ちゃんは改造して、メドゥーサみたいな処理を咏回路に埋め込んでいるようだけどね」

そういって、タチバナミナトはオレへの攻撃をやめ、瓦礫に腰を下ろした。

意味が分からない。勝手にしゃべって、攻撃して、ひすいさんの義眼について話し出した。

何がしたいんだよ、コイツ。

「ああ。狗飼茅の魔眼を食べたかったんだよね。いぬかい、トルマリン君だ。あの人にお願いして、劣化を停止させた。あの人、停止の奏術が得意だったよね。狗飼研でも優秀だったし、本人は見分を広げたいって言って警備局に入ったらしいし」

興味が無い人を瑰玉の名前で呼ぶのは、ひすいさんと同じだ。死体が腐敗しなかったのは、この男が原因じゃなかったのか

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