第36話 There's no place like home.

全ての亜鈴と人間もどきを修理し終えたころには、空が茜色に染まっていた。ここ数日は日が伸びたせいだろう。旧新宿駅南口には、幾人もの、局員が、せわしなく行き来していた。ユーイチは何処に行ったのだろう。簡単に殺されるようなモノではないことは知っていたが、相手が暴食王では分が悪い。纏まりの無い思考に囚われていると、突如ジャケットのポケットに火が付いた。ユーイチとの連絡手段であった、可燃通信紙が全て燃えていたのだ。考えられる可能性は二つある。何者かにユーイチが殺害され、瑰玉が破壊されたということ。もう一つは、咏回路を暴走状態にさせ、【破砕】を闇雲に放っていること。後者の場合、不可逆的な圧力が加えられ瑰玉が欠けたか、もしくは内部崩壊を起こしているかだろう。

「しょうがない作品だな」

口元が緩んでいるのが、鏡を見なくてもわかっていた。履いていた赤い靴で踵を三回鳴らす。ユーイチを改造するまでは屋敷にテレポートするために組んだ奏術だったが、今は彼の元に飛ぶように組み替えた。

寂れて、砂埃の舞う改札口に溶けるかのようにして、芹澤ひすいは消えた。

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