第3話 所長の思い

 真猿と翼は所長の上原に連れられ、京王線沿いにある下高井戸の駅に来ていた。

駅を降り、線路の横を通って住宅街を歩く。


所長「ここだ」


 辿り着いたのは所長の新居で、一条工務店で建てた、とのことだ。

全面黒のタイル張りで、表札に「uehara」と筆記体でかっこよく書かれている。


所長「カッコイイだろ。ま、入ってくれ」


真猿(めちゃくちゃ高そうな家だな…)


 ビル管理の給料で新築建てられるのか、と疑問が過るが、どうやら所長は奥さんと共働きらしい。

今日は奥さんは友達と遊びに行って不在とのことで、2人は招かれた。

リビングは吹き抜けで開放感があり、光もよく入る。

緊張した面持ちでソファに座っていると、所長がやって来た。


所長「今、ウーバーでくら寿司頼んだから」


真猿・翼「ありがとうございます!」


 しばらくすると、くら寿司がやって来た。

それを受け取り、食べる準備していると、もう一度、ピンポーンと鳴る。

お、来たな、と所長が立ち上がり、中に誰かを招き入れた。


デリヘル嬢A・B・C「こんにちわ〜」


真猿・翼「!?」


 所長はデリヘル嬢を電話で招いていた。


所長「こういう方がリラックスできるだろ」 


 デリヘル嬢がそれぞれの上に跨り、おっぱいを晒す。

所長はためらいもなく、そのたわわに実った果実を貪りながら、言った。


所長「お前らは何でこの仕事を選んだ? ちゅう、ちゅう」


真猿「えっ、何で… 俺は、元々消防設備士なんで、それを生かしたかったッス。ちゅう、ちゅう」


翼「…俺は、楽そうだから、かな。ちゅう、ぺろ」


所長「ぶっちゃけてくれて嬉しいわ。本音で話さないと意味ないからな。俺は、チーム内に起こるドラマが見たいんだ」


真猿・翼「ドラマ?」


 所長はおっぱいをこね回しながら、言う。


所長「そうだ。俺らは何かしら悩みを抱きながら仕事をしてると思う。こういう仕事だからな。中途の奴も多い。そいつらは、給料が安い、とかもあるが、過去に何か引きずってたりする。それを克服した時、ドラマが生まれる。ま、悩みが深ければ深いほど、やっぱり転職しちまうんだけどさ」


 悩み、と言う言葉を聞き、2人はしばらく思惑する。

嬢が言った。


嬢「恥ずかしがらないで」


真猿「…分かった。俺は、ずっと職人志望で消防設備士をやって来た。でも、癖強な先輩について行けなくて辞めた。今でも、一人で仕事を回したい願望がある」


所長「ビル管理はチームだ。俺にはお前の持つ消防設備の知識、技術をみんなにシェアして欲しいと思ってる」


真猿「でも、それじゃ俺の強みが…」


所長「お前もまだ職人が抜けないな。でも、チームの成長がこの現場の存続の鍵なんだ。それに、その視点で仕事をすれば、またそういうやり甲斐も見つかるさ」


 次に翼が話を振られ、少し間があった後、話し始めた。


翼「…今まで、会社の規模とか、そういうのばっか気にしてたけど、俺にも何か強みが欲しい。できることを見つけて、やり甲斐にしたい」


所長「俺はお前を悪いようにはしないよ。ここで働いてくれるなら、長い目で支援していくし、すぐにお前の力が必要になると思うよ」


翼「…分かりました。あ、あと!」


所長「何だ」


翼「俺、この続きがやりたい!童貞、早く卒業したい!」


嬢(やっと素直になれたわね)


 こうして、真猿、翼が本音を話し合い、この日は終わりを迎えた。




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