魔法界の舞台裏

第1話 裏方の世界

　2023年初夏のオープンを目指し、世界的にヒットした、魔法使いを描いた映画「ローリング・サンダー」の撮影の舞台裏を観ることができる施設の建築が始まる。

とある遊園地を潰してそこに建設されるその建物のオーナー（土地の所有者）は飯田不動産、建設会社は台東建設である。

また、運営はローリングサンダースタジオツアー合同会社で、ショーの案内係（キャスト）やお土産屋の管理、展示されている機械仕掛けの人形、美術品、装飾の管理はこちらで行う。

警備、清掃、設備管理、飲食店については入札で別会社が行うこととなる。

　ローリングサンダースタジオツアーが開園する約2ヶ月前。

入札によって東京ナイス設備株式会社が設備管理を行うことが決定し、設備担当者が現場に乗り込んだ。建築現場は佳境を迎えているが、まだ細かな仕上げ個所が沢山残っており、左官職人から建築担当者まで、様々な人が出入りしている。　　

設備管理担当A「本当に後二ヶ月月で完成するのか？」

設備管理担当B「全然、そんな雰囲気じゃないですよね」

　それと同時に、スタジオツアーを管理するメンバーの採用が始まった。

所長は上原幸人（45）という別現場で所長をしていたベテランがなることが決定し、その他メンバー4人を採用することとなった。

シフトは日勤、夜勤、泊まり（9時〜翌9時）で、平日、土日ともに3人体制で現場を回す。

基本的に所長は平日の月〜金で、土日は休みだが、常に電話には出れる体制。

その他メンバーは泊まり、明け、休み、日勤というローテーションとなる。

面談は無事に終わり、みな正社員として、ビル管理経験者の元消防設備士　真猿（36）、ビル管理未経験　元トラックドライバー　三村（45）、ビル管理未経験　元フリーター　翼（24）、ビル管理未経験　元声優　マリア（26）が入社することが決まった。