おまけ - ちょっとダメそう


 70年代の昭和歌謡で、ある表現が生まれた。


 女は「海」。


──────


 そして男は皆、夢と神秘に包まれた海へと潜る調査船を持っている。

 

 俺の調査船〝沈海15,000〟は、深さ約15,000忽メートルまで調査が可能な中型の深海調査船だ。数多に存在する調査船の中では、平均程度の性能らしい。


 世界中の海において、その底までの深さは約8,000忽メートル。すなわち俺の調査船であれば、その最深部に辿り着くことが可能なのだが……。残念ながらこの沈海15,000は、未だ2~3,000忽メートル程の調査を三回しか行ったことが無かった。


◇◆


 そんな沈海15,000が本日、人生四回目のダイブへと臨むことになった……。それも海底へ到達できる確率は濃厚と聞いている。だが、今日の海大荒れ。着水した時点で船体は大きく揺れていた。


 SYS「システムオールグリーン」

 艦長「これより、ののの大海溝へ潜水する」


 ドップン ────


 沈海15,000がゆっくりと海の底へと向け、ダイブを開始した。


 ────


 艦長「順調に降下中」

 深度計「深度2,000…3,000…」


「……んんっ……っぁあっ!?」


 SYS「海流ノウネリヲ検知」

 艦長「落ち着け……ここからだぞ」

 深度計「深度5,000…6,000…」


「なに……これやばっ……もぅっ……いっ……ゃ」


 警報「ビーッ!! ビーッ!!」

 SYS「水圧急上昇、水圧急上昇」

 艦長「まずい衝撃に備えろ!」

 深度計「深度7,000…7,500…」


「深っいぃの……きっ……いっ……んーッ!!!!」


 警報「ビーッ!! ビーッ!!」

 SYS「強イ衝撃来マス」

 艦長「ぬおおおおおお」

 深度計「深度8,000…8,200…」


──── ギュウウウウウウウ


 艦長「くっ海底の水圧、これほどとは」

 深度計「深度8,500…8,500…」

 SYS「海底ニ到着シマシタ」



──── ズゥウウウン


「……お゛っ……ながっ……えぐっ……」


 艦長「むっ……まだ進んでいるだと?」

 深度計「深度9,000…10,000…」


「……る゛っ…またぐる゛っ……いっぃぃいいっ!!」 


 警報「ビーッ! ビーッ! ビーッ!」

 SYS「船体ニ強イ圧力ガ連続シテカカリマス」


──── ギュウウウウウウウ


「……お゛っぉお……かひゅっ……し゛ぬっ……し゛い゛っぬっ!!」 


──── ギュウウウウウウウ


 艦長「うおっ、海底が動いている!?」

 深度計「深度12,000…13,350…」

 警報「ファンファンファンファン!」

 SYS「キケンデス キケンデス」



 艦長「まずい船体がもたない、一度浮上する!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る