アリスの選択(3)

 アリスは、瞬間移動で自分の教室の席に戻り、辺りを見渡すと。何もなかったかのように授業が行われている。


 自分の意思とは関係ない行動、発言、あの能力。だからといって、操られているような感覚はなく、言わされている感もない。あれは、いったいなんだったのか、まるでファンタジーの世界。この状況をどう理解すればいいのか。

 アリスは、更なる困惑の渦の中から抜け出せず、というか、もうそういう次元の話じゃない。すべては、あいつに聞くしかないと思い。まさかとは思うけど、冗談じゃないと思っていた。


 結局、アリスは、夢のこと、あの事件に巻き込まれたこと、親友には話さず。というか、今は話せる段階ではない、すべては白ウサギに聞くまでは、親友、両親に話すわけにはいかない。


 アリスは、親友にあのことを悟られずに学校から帰宅し。いつものように北村の自宅へ行き。あのことを悟られずに、いつものようにリビングで一緒に宿題を済ませ、いつものようにソフアーに座り、テレビでアニメ映画を見たりして、いつもの時間、午後6時前に自宅へ帰り。両親にもあのことを悟られずに、晩御飯の準備を手伝い、晩御飯を済ませ、お風呂に入り。白ウサギに会うために、今日はいつもより早めに就寝することにした。


 ところで、白ウサギに会うには、いったいどうやったら会えるのか。

 それは、あの時言っていた、「私はアリスの味方だ」と言ったあと、言い忘れたことがあると言い。寝る前に、「うさちゃんに会いたい」と心の中で思えば会えると。それと、私に会うには夢の中でしか会えないと言っていた。


 アリスは、ベッドに入り、「うさちゃんに会いたい」と心の中で思い、眠りについた。

 すると、夢の中で、アリスは学校のグランドの真ん中に立っている。そこへ、白ウサギが現れ。

「お見事、実に素晴しい。……。正義のリングか、いいんじゃないの、手錠をリングに例えたということか、実に素晴しい」

「何が素晴しいよ!? あれはあなたの仕業なの? あれが、逃れられない宿命ってことなの? あれじゃまるで、刑事じゃないの……冗談じゃない、私は絶対に外科医になるんだからね」

「言っとくが、あれは私の仕業じゃない。外科医になりたければなればいい、かみ砕いてやるだろう?」

「言われなくても、かみ砕いてやるわよ」

「そうこなくちゃ、面白くない。前にも言ったが、私はアリスの味方だ」

「じゃ、あれはいったい、誰の仕業なの? それに、あなたはいった誰の?」

「いいでしょ、アリスの決意に免じて教えてあげよう。あの能力を受け入れるか、受け入れないかは、アリスの自由だ、どの選択を選ぶか楽しみだな」


 この時、アリスは、冗談じゃない、うさちゃんは何を考えているの、あの能力を受け入れるわけがない。刑事もならない、絶対に外科医になってみせると強く思っていた。


 アリスの味方だと言う、白ウサギは、いったい何者なのか、いったい何がしたいのか。


 白ウサギは、アリスのすべての疑問に答えることになり。こんなところで立ち話もなんだからと、場所を変えるために2人はその場から消えた。


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