アリスの宿命

K・Sメッセ

奇妙な夢

奇妙な夢(1)

 東京都では、桜が見ごろの季節になり。小学校の入学式、新学期も始まり。ここ久利生市立中央小学校の体育館の横にある、1本の大きな桜の木は満開を迎えていた。


 そんな中、小泉アリスは、4月7日に、12歳の誕生日を迎え、小学6年生になり。数日が経ち、中央小学校の6年1組の教室では、国語の抜き打ちテストが終わり。休み時間になり、抜き打ちテストのことでざわついていた。


 アリスには、幼稚園のころからの親友、北村佳代ともう1人の親友、というか、親友は親友なんだが、腐れ縁のような関係の伊藤健太がいる。

 伊藤は、アリスにとって、おせっかいな人間。アリスは、幼稚園のころ、『不思議の国のアリス』と言われ、からかわれていた。そんな時、伊藤はアリスをいつも守ってくれた。それ以来、ずっとアリスを守っている。

 北村の将来の夢は、アリスの母親のような外科医になること。伊藤の将来の夢は、刑事なり、アリスを守ること。

 アリスの成績はいたって普通だが、中2から外科医になるスイッチを入れると言う。北村の成績はいつも学年トップ、すべてにおいていうことなし。伊藤の成績はいたって普通だが、体育だけは群を抜き、特に足が速いが陸上クラブには興味がない。興味があるのは、アリスだけ。


 ちなみに、アリスの親友のこの2人は、アリスの家の近所に住み。2階建ての同じような家が建ち、いつも一緒に仲良く登校している。


 アリスと伊藤は、北村の机を囲むように、アリスは、妙な話しを始めた。

「ねぇ、佳代ちゃん、私って、最近、変だよね?」

「……なんでそんなことを聞の? 確かに、変じゃないけど、ちょっと雰囲気が変わったような気がするけど、健太君はどう思う?」

「俺に聞かれてもって言いたいところだけど、佳代ちゃんの言うように、ちょっと雰囲気が変わったような気がするけど……アリス、なんでそんなことを聞くんだ?」


 アリスは、そうだよねと呟きながら、その質問の訳を話した。


 アリスは、最近、いつもと違う自分に戸惑っていた。

 いつもは目覚まし時計が鳴ってからしばらくして起きる。しかし、誕生日の翌日の朝から、目覚まし時計が鳴る15分前に起き、すぐに起きる。

 誕生日の翌日の朝、机に向かい、新しい教科書をパラパラとめくり、いがいと簡単だと思い。まるで、速読術を身につけているかのように、ものの10分で全教科の要点を押さえ記憶し、リビングに行き。父親は、いつものようにソファーに座り、テレビのニュースを見ている。いつものアリスなら、ニュース番組に興味がない。しかし、ニュースを見ている、その内容に納得もしていた。

 誕生日の翌日から、図画工作、体育、音楽、家庭科の授業以外は退屈でしかない。アリスの中では、他の教科はすでに終了している。テストは100点を取る自信もある。


 このことは、両親には話していない。ただ、この2人のように、アリスの雰囲気がちょっと変わったように思っていた。じゃ、どう雰囲気が変わったのかというと。なんとなくとしかいいようがない。


 今日の抜き打ちテストは、5年生の復習問題だが、アリスにとっては、あまりにも簡単すぎてあっという間にテスト用紙に答えを書き終え。100点を確信し、テスト用紙を裏返しにし、退屈していた。


 いままでのアリスなら、この状況はあり得ない。ただ、この2人は、アリスの言うことを信じた。アリスは、ウソを言う人間ではないと思っている。


 北村はアリスに、もしかしたら脳が覚醒したのではと言い、アリスの体に異変がないか聞いてみると。頭はスッキリ、体調はいたって普通だと言う。それを聞いた伊藤は、ひと安心だが、どうして脳が覚醒したのか、その原因はなんなのか、一度病院で調べてもらったほうがいいと言うと。アリスは、学校から帰宅したら、両親にそのことを話すことにした。

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