『ポテチしか出せない無能』と追放された俺は、悪役ムーブ希望の転生者。なせか聖女や姫、女騎士に溺愛される生産主に!? ~無限ポテチが食糧危機を救い経済を回し、俺を追放した連中は即ザマァ~

人とAI [AI本文利用(99%)]

第1章:無能と追放、そして聖女はポテチに跪く

パート1: ポテチしか出せない無能はクビだ!

どんよりとした曇り空の下、俺たちB級冒険者パーティー『蒼き流星』は、今日のダンジョン攻略を終えて街への帰路についていた。


雰囲気は、最悪。


リーダーで幼馴染のアランのイライラが、パーティー全体に伝染している感じだ。


「チッ……またゴブリン相手にてこずりやがって。今日の稼ぎも微妙じゃねえか!」


先頭を歩くアランが、吐き捨てるように言った。

その鋭い視線が、俺――リクトに向けられる。


またかよ。内心でため息をつく。


「おい、リクト! てめぇだよ、てめぇ!」


アランが立ち止まり、俺を指差す。

後ろを歩いていた魔術師のメイと斥候のカイルも、びくりと肩を震わせて足を止めた。


「今日の不手際、てめぇのせいだからな! ゴブリン相手にモタモタしやがって! 戦闘じゃ何の役にも立たねえくせに!」


「……」


俺は何も言い返さない。

言い返したところで、この幼馴染は聞く耳を持たない。最近は特にそうだ。


「そもそも、お前のスキルは何なんだよ! 『無限ポテチ』? ふざけてんのか! 戦闘でポテチ出してどうすんだよ、ええ!?」


アランの怒声が響く。

そう、俺のスキルは『無限ポテチ』。

鑑定結果は最低のFランク。用途不明、戦闘不向き。このスキル至上主義の世界では、役立たずの烙印を押されるのも無理はない。


(まぁ、転生者の俺にとっては、このポテチが唯一の前世の癒やしなんだが……。この世界のメシ、マズすぎるし)


前世の記憶を持つ俺は、内心でぼやく。

この世界の食文化は致命的に貧しい。塩や香辛料は貴重品で、庶民の口に入るのは味気ない芋や硬いパンばかり。だから、俺の出す様々なフレーバーのポテチは、個人的には至高の食べ物なのだ。


もちろん、そんなことはこいつらには理解できない。


「アランの言う通りだよ、リクトさん」

後ろから、メイがおずおずと言った。

「ポテチだけじゃ、戦闘の役には……」


「そうそう! 俺たちが前線で戦ってる間、リクトは後ろで荷物持ちかポテチ食ってるだけだもんな!」

カイルも便乗してくる。


こいつら……。

まあ、いいけど。


アランは満足そうに頷き、そして決定的な言葉を口にした。


「もう我慢ならねぇ! リクト、お前は今日限りでクビだ!」


クビ、か。


「ポテチしか出せないお前のスキルは戦闘じゃ役に立たない! 足手まといなんだよ! 分かったか!」


アランは勝ち誇ったように俺を見下ろす。

メイとカイルは、少し気まずそうに視線を逸らした。


(なるほどな。追放、ね……)


俺は内心で呟く。

悪役志望の転生者としては、むしろ好都合かもしれない。

しがらみが無くなって、自由に動ける。


「……分かった」


俺は感情を殺した声で、短く答えた。


「ちっ、反省の色もなしかよ。まあいい。さっさと荷物をまとめて出てけ! 金は今日の分までだ!」


アランはそう言い捨てると、メイとカイルを促して先に歩き出した。

俺は一人、その場に取り残される。


(さて、と……)


追放されちまったな。

幼馴染に裏切られ、仲間にも見捨てられた。

普通の奴なら絶望するところだろう。


(だが、俺は違う)


俺は口の端に、微かな笑みを浮かべた。


(悪役ロールプレイの始まりだ。まずは……そうだな)


俺は懐から、おもむろに袋を取り出す。

シャカシャカと軽い音を立てて、中身を手のひらに出した。


(今日の気分は……やっぱり、うすしおだな)


カリッ、と小気味よい音を立てて、ポテチを一枚口に放り込む。

うん、安定の美味さだ。


これからどうするか。

とりあえず、宿を探して、腹ごしらえでもするか。

悪役としての第一歩は、まず腹を満たすことからだ。


俺はポテチを齧りながら、ゆっくりと街へ向かって歩き出した。

アラン達とは逆の方向へ。

自由になった解放感と、これから始まるであろう波乱への期待感を胸に秘めて。

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