第25話:暗黒の創始神の復活

暗雲立ち込める大地


リクとエリナが、ハイパーガーディアンとハイパーメデューサを打ち倒した日から、数日後のことだった。突如、空が不自然なほど暗く染まり始め、遠くの山脈から黒い霧が這い出して地平線を覆い尽くしていく。


やがて、血まみれの斥候兵が村へ辿り着いた。息も絶え絶えのまま、彼は叫ぶ。


「ま、魔王軍が……復活した……! 新たな魔王ハーデスと、闇の帝王が……暗黒の創始神を呼び起こし……大進軍を……!」


「何だって!?」とリクが立ち上がり、エリナは「創始神って……まさか……」と顔を青ざめさせる。


斥候が力尽きて地面に倒れ込んだその瞬間、空から雷鳴が轟き、黒い翼を持つ魔獣の群れが飛来。村人たちは「逃げろーっ!」と叫びながら四散し、村はたちまちパニックに包まれる。


その喧騒の中、グレンは屋根の上で尻肉を片手に寝転がり、ひとりぼやいた。


「ったく、めんどくせぇな……隠居先の温泉でも探しとくか……」


「今そんな場合じゃないだろ、おじさん!」とリクが怒鳴るが、グレンはシチューをすすりながらあくびをひとつ。



国王軍の壊滅


一方その頃、王都近郊では国王軍が総力を挙げて魔王軍を迎え撃っていた。精鋭騎士団が「我らに恐れるものなし!」と叫び、槍を構えて突撃する。


しかし、新魔王ハーデスが片手を軽く掲げると、地面から黒い炎が噴き上がり、騎士団は一瞬にして灰と化した。


「フン……創始神の力は我らに与えられた。貴様ら如き、塵にすら値せん」


その背後では、闇の帝王が哄笑を上げる。「次は貴様らの王だ!」と高らかに叫ぶと、魔獣軍団が空を覆い、巨大な暗黒ゴーレムが大地を踏み砕きながら進撃してくる。


国王軍の魔法使いが「ライトニングストーム!」と雷撃を放つが、暗黒ゴーレムの装甲には通用せず、逆に黒い光線で蒸発させられてしまう。


指揮官が「撤退だ! 耐えきれん!」と叫ぶが、逃げる間もなく、魔王軍の猛攻に飲まれていった。


各地の冒険者ギルドも応戦に乗り出すが、結果は同様だった。Sランク冒険者のパーティーが「俺たちなら!」と突撃するも、ハーデスの放った一撃で一瞬にして消し飛ばされる。


ギルド長は呆然と膝をつき、「こいつら……人間じゃねぇ……」と呟いた。


魔王軍の進撃は止まらず、都市も村も、次々と灰燼に帰していく。



グレンの隠居プランとマリッサの危機


そのころ、リクとエリナは村で情報収集を進めていた。斥候の生き残りから「魔王軍は創始神の力で、ほとんど無敵だ」と聞かされ、リクは不安げに呟く。


「俺たちの新技でも、勝てるのか……?」


「でも、グレンなら何か知ってるかも!」とエリナが提案するが、当の本人は荷物をまとめながら言い放つ。


「俺ぁ温泉行ってくるわ。悪ぃーが、戦いはお前らでなんとかしとけよ、なッ?」


「マジかよ、おじさん!? 世界がヤバいんだぞ!」とリクが掴みかかるが、グレンは肩をすくめる。


「俺ぁもう引退済みだろ?ハーゲス倒した時点で、十分働いたじゃねーかよ」


そのとき、村の外から悲鳴が上がる。下級魔将ガルザックが率いる魔獣部隊が村を襲ってきたのだ。


村人が逃げ惑う中、マリッサが「私が食い止めるわ♡」と飛び出す。しかし、彼女はガルザックの黒い鎖に捕らえられてしまう。


「きゃっ! なにこれ!?」


「グレンちゃーん、助けてぇ♡」と叫ぶマリッサを、ガルザックが不敵に笑いながら連れ去ろうとする。


「こいつは、魔王様への貢物だ!」


リクが「マリッサ!」と剣を抜くが、魔獣の数が多すぎて近づけない。エリナが「アストラルブレイズ!」と援護するも、ガルザックは黒い霧をまとって姿を消す。



マリッサ救出作戦


屋根の上から様子を見ていたグレンが、ため息をつきながらつぶやく。


「やーっと、マリッサとお別れできんのかよ……長かったわ……これでやっと隠居できるな」


「何だって!?」とリクが振り向き、エリナも驚きの声を上げる。


「グレン! 今の本気!?」


グレンはシチューをすすりながら、平然とした表情で言う。


「いやぁ~?めんどくせぇ絡み女がいなくなんのよ?ラッキー以外になんだってんだよ」


「ふざけんな、おじさん! 仲間だろ!」とリクが怒鳴り、エリナが「最低! 信じられない!」と杖を振り上げる。


「おいおい、落ち着けってんだよ、冗談だっつの……ったくよォ、お前ぇら二人もいてナニやってたんだよ!めんどくせぇな、ほんっとによォ!」


そう言って、グレンは渋々立ち上がる。


「ったくよォ……温泉行く前に、ちょっくら片付けてくっか!」


リクが「急ごう! マリッサが危ない!」と剣を構え、エリナも「私も行く!」と続く。


一行は魔獣の群れを掻い潜り、ガルザックが陣取る森の奥へと突入した。



グレンの反撃


黒い霧の中から姿を現したガルザックが、マリッサを鎖で吊り上げながら叫ぶ。


「貴様ら、貢物を奪う気か!」


「グレンちゃ〜ん、遅いよぉ♡」とマリッサが甘えた声で叫ぶが、グレンは冷たく吐き捨てる。


「っせぇな、黙ってろ」


リクが「ソウルブレード!」と剣に青白い炎をまとわせて突進するが、ガルザックの鎖がそれを弾き返す。


「ガキが調子に乗るな!」


続けてエリナが「アストラルブレイズ!」と星炎の魔法を放つが、鎖が盾のように展開され、攻撃は防がれてしまう。


「創始神の力を受けた俺に勝てると思うか!」と叫びながら放った黒い波動に、リクとエリナは吹き飛ばされた。


グレンが静かに呟く。


「ったく、なにやってんだかなぁ!めんどくせぇ……お前ぇらじゃ時間かかるな」


鍋を地面に置き、剣を抜く。


「ホーリーシザース」


一閃。巨大な光のハサミが現れ、鎖を一刀両断。驚愕するガルザックに向かって、グレンは言い放つ。


「面倒くせぇから、一発で終わってろ、タコが」


剣を軽く振り下ろすと、その一撃で黒い波動ごとガルザックの身体は真っ二つに裂かれた。


「グギャァッ!」


叫び声とともに、ガルザックは消滅。マリッサが地面に落下する。


「グレンちゃん、さすが〜♡」と抱きつこうとするが、グレンは手で押し返す。


「やめろ。別に“さすが”じゃねぇ」


リクが「助かった……けど、やっぱおじさん強すぎるだろ」と驚き、エリナも「でも、助けてくれてありがとう」と微笑んだ。



隠居は遠のく。


「チィッ……これで終わりかと思ったらよォ、魔王軍の本隊がまだノコノコしやがってるんだとよ。ったく、隠居がまた遠のいちまったじゃねぇか……クソが」


グレンがぼやくと、マリッサが笑顔で絡みついてくる。


「私を助けてくれたってことは、ずっと一緒にいてくれるのよね♡」


「うぉ!やっぱダメだ、貢がれとけ!」


とグレンはその場から逃げ出し、リクとエリナは苦笑い。


そのとき、遠くから暗黒の創始神の咆哮が響き渡った。魔王軍の進軍は止まっていなかった。


「次はお前ぇらがなんとかすんだぞ」とグレンが言い、リクは「次はおじさんも本気で頼むぜ!」と返す。


その頃、ハーデスと闇の帝王は王都の城壁を見下ろしながら、不気味に笑っていた。


「ふん、グレン以外は雑魚だな。創始神の力をもってすれば、この世界は我らのもの……」


「グレンも、今回は逃がさんぞ」


そう言って、闇の帝王が高らかに笑い声を上げる。


魔王軍の大進軍は、いよいよ最終局面へと突入しようとしていた――。

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