第35話

『なぁ、いつから好きだった?』


君が不意にトーンを落として訪ねた。

その声は澄み渡って沁みこむ。


だからもっと求めて欲しくなる。





ーーー「《”それ”は君がみつけて。》」


呟いた囀りは君の見開かれていく瞳でかき消される。


ふっと微笑んであの日々を想い出す。




《木の葉を隠すなら森の中》

《のせる想いはあの日のノートの中》




『そんなの知らない!

てか、【はやく気づけバーカ】。』


燃えるみたいに注がれる熱すぎる視線をいなして戯れる。

精一杯のヒントを滲ませて。

一分でも一秒でも多く君の思考を占領させて。





あのノートの端が笑う。


素直になんてなれないけど。









ー”それでも君の隣は譲らない。この先もずっと。”

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る