第2話 交差する運命よ。怨恨渦巻く廃病院を調べよ。

〜第二班視点〜

 歩く音が響き渡り、誰も声を発さずただただ慄いている。…2人を除いて。

「やはりそうじゃないか…幽霊なんて存在しない。そんなものは求めずに出るのですよ。」

「いや、違うな。それを求める式が美しくなければ、それは駄作になるのだ。そうだろう?柏木、君の頭脳はその程度も求められないのか?」

 あえて、喧嘩腰で挑むことにより相手の精神性を試す方法…麗華の常套手段だ。

「私を試そうと?上等です。受けてやりますよ。」

「ちょ、ちょっとぉ、2人ともやめなよぉ。」

 このオドオドしているもガタイが良い男は池町寿平いけまち としへいである。空手の黒帯であり、口調とは真逆にとても強い精神性の持ち主だ。

「ふっ、関わらなくていいですよ。このような手先でしか関われないような奴に、わざわざ頭を使うのが馬鹿らしくなりませんか?求めてあげますよ。そんなに欲しいのならば、あなたの真理とやらはどうやら安っぽいようですねぇ。」

 返しとしては中々の反撃だった。痛烈ではないにしろ彼女の自尊心を傷つけさせるには充分だった。

「これってさぁ、ほんとにただの病院?疑問とか出ちゃうよね。診察室もなければ病室もない。いやさぁ、確かにそれっぽいのはあったけど、でもさぁ何か違うじゃん?もしかしてここってとんでもないところなんじゃ?」

 池町がオドオドしながら言及していく。

「確かに。そういえばその通りですね。病院にしては構造が複雑ですし、何より病院には要らないですよね?『超人類生体管理室』なんて。」

 柏木は部屋名が書かれてた看板の埃を払いつつそう言った。

「…なんだと?」 

 麗華が驚く。それと同時、廊下の奥から金属が軋むような音がした。


〜第一班視点〜

「いや〜、結構雰囲気あるね!…ちょっと怖いかも…」

 陽奈は明るく振る舞うが、体が震えているのがよくわかる。

「ここを曲がれば、診察室だな…行ってみるか?」

 司はリーダーとして皆を引っ張ってくれるが、その顔はどこが悲しげだった。

「行ってみようか。しかし、複雑だねぇ、この病院は。」 

 静流は呑気にしている。

「…あまり、気を抜くな。いくら俺でも、全員の行動は見てられん…」

「蓮!やっぱ無理かも!…手、繋いでいいかな?」

「あ、うん。全然いいよ。私も怖かったし」

 陽奈の手を取り、震えているのを再確認した。

「手、震えてるね。大丈夫?今なら早く戻れると思うけど。」

「いいや!大丈夫、大丈夫だよ…でも、この場所さ、なんか気味悪いんだよね。ずっと見られているような何というか。」

 確かに陽奈の言う通りである。ずっと視線を感じる。それも冷たく鋭い視線が何十個も。私も陽奈も霊感は無いのに。

「おい、お前ら、少しこっちに来てくれ。書物と…武器だ。なぜ、病院にあるんだ…」

 最初は司のジョークかと思った。しかし、司のいる場所に行くと、それは事実だと認識した。

「うそ…でしょ?なんで、武器なんかがあるの…?それに護身用武器なんかじゃない。銃火器じゃん…!」

 そこにあったのは、ライフルにハルバード、さらにファルシオン、グレイブもあった。ライフル用弾薬もあり、いつでも戦えるような状態だった。

「三つは中世武器でライフルだけ現代でも使われている武器だね…いや、でも何で病院に武器なんか…」

「ショック療法…だとしても、やり過ぎだよね。まるで、対人外用みたい。」

「確かに、陽奈の言う通りだね。対人間用にしては過剰防衛が過ぎる。…ますます、怪しいねこの施設。」

 この時点で私も薄々察した。今私たちはゲームで出てくるような悪徳施設に入ってしまったのだ。

「…万が一の為に持っておくか?俺はライフルを持っておこう。」

 司がライフルを手に取る。

「じゃあ、私はコレかな〜。」

 陽奈はハルバードを手に取った。

「私はコレ、距離はあればあるほど良いからね。」

 静流はグレイブを手に取った。

「じゃあ、私はこれか…うん、1番手に合うかも。」

 そして、最後に私はファルシオンを手に取った。それと同時、近くには誰も居ないはずなのに扉が開いた。


〜第三班視点〜

「ん〜、どういうことかなぁ〜?なんで!何の取れ高もねぇんだよ!どうなってんだぁ?戸田ぁ!」 

「ちょ、待って、おぇ!」

 戸田の腹には椎奈木の蹴りが入っていた。今、蹴飛ばされたのは戸田聡とだ さとしである。我が校が誇る野球部のエースであり、誰もが頼るリーダー気質であるが優しすぎるが為、暴力によって全てを制している女王に逆らえないのである。

「はぁはぁ、ごめん。でも!コレからだから!コレからきっと取れ高が来るはずだから!」

「黙っとけや!この何もできないゴミエースが!何の!役にも!立たないくせによ!」

 椎奈木が戸田を蹴り続けた。死ぬかもしれないラインまでただただ蹴り続けた。しかし、ある策士によってそれは止められる。

「おやおや、これはこれはせっかくの可愛いお顔が台無しではありませんかぁ。椎奈木様はこのお菓子がお好きでしたよね。どうぞ!頂いてください。」 

「うん?あぁ、三田かぁ!ありがと♡う〜ん、美味しい!」

 策士…というかただの強者についていく下っ端?それとも手のひらで全てを統一する真の支配者?よく分からない男が三田俊朗みた としろうである。

『大丈夫ですか?大変ですねぇ?エースという立場も。』

『あぁ、ありがとう三田。すまない、この探索が終わった後そのお菓子を教えてくれ。』

『もちろんです。お互い協力していきましょう♪』

 それと同時、天井が崩落し、三体の金属で作られた内骨格が現れた。

「何だ。何なんだ…こいつは!?」

「おっ、取れ高きたぁ〜!!」

「取れ高とっている場合じゃ無いでしょう!椎奈木様!?」

 ついに、この廃病院の底の知れない悪夢が始まる。






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