邂逅遭遇
寒い。かまくらの中にいるとはいえ火もない。ただただ雪を凌いでるだけだ。
(っ…!?なにかの気配がする…!)
そう思い身構えた瞬間、かまくらが爆散した。あんなに頑張って固めたやつが、一瞬で壊された。
「って…やっぱ人間やん…。いや、でもヴァンパイアの匂いもする…?お前は何モンや?」
そこに居たのは、私のことをギロっと睨んでくるヴァンパイア。緑色の時の小麦のような色をした髪の毛に、空のような青色の目。コートを着ていて、すごくあったかそうである。
「私?私は龗斬で人を殺してきた人間とヴァンパイアのハーフだよ」
「なっ!?」
やはり人間とヴァンパイアのハーフというのは珍しいのだ。私も人生で1度も見た事がない。とは言っても私の人生はまだまだ短いものだが。
「…すまん!人間の匂いもするし、ヴァンパイアの匂いもするからびっくりしただけやで!俺はな、
「楲無零よ。さっきも言った通り人間とヴァンパイアのハーフ。父が人間、母がヴァンパイアよ」
そうかそうか、と頷いている。というか、この鴣雪さん?は1000年生きているらしい。流石長寿だ。多分私の場合は人間の血が入っているせいで寿命は半減しているのだろうが、それでも人間よりは多く生きるだろう。
「母方がヴァンパイアなんか〜。もしかしたら知っとるやつかもしれんな…?」
「私を産んで亡くなったから会ったことないけど、名前は知ってる。確か…
「夕星!?あの夕星か!?」
この慌てぶりだと、母のことを知っているようだ。まさかこんな所で母の知り合いに会えるとは思っていなかった。こんなボロボロな格好で申し訳ない。
「多分そう」
ずさぁぁぁっと、鴣雪が急に土下座をし始める。えぇ…怖いって。急に土下座されたらどんな反応を私はすればいいのだろうか。アセアセする私を見て、鴣雪は言う。
「…くっそ…俺の嗅覚も衰えたもんだ…。そんな格好じゃ寒いやろ?とりあえずこれを羽織って」
そう言って来ていた羽織を私に掛けてくれた。暖かい…。久しぶりの温もりは、とても居心地の良いものだった。
「会ってすぐに気づければよかったんやが、人間の匂いが混じっていたせいで上手く嗅ぎ取れなかったみたいやで。ほんまに申し訳ない!」
「いや、そんなに謝らなくても…。」
普通に考えて分かるわけないだろう。わかった方がすごい。でも嗅ぎ取ることも出来るならヴァンパイアの血の匂いというのは個体差があるのだろうか?
「つーか、その反応からして何も知らないんやな…。」
…ふぇ?
何それ。私に何か隠していたことがあるのだろうか。いや、実際私は母に会ったことは無いわけだし、知らなくても仕方が無いと思うのだが。
「…はぁ、知らんのか…。よく聞けよ、お前の母親の夕星はな──」
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