滅亡前夜

ごろにゃーご

第1話

「あー、くそ。また死んだ」



時計の針が真上を回り、窓の外からはバイクのエンジン音が時折ときおり聞こえる。



狭い、暗い部屋の中で煌々こうこうと灯る画面の光。対して大きくもないテレビと、そこに映るドット絵の青年。



『しんでしまうとは なさけない!』



「わかったわかった。ごめんて」



この表示、もう何度見たことだろうか。かれこれ二時間くらいは同じチェックポイントでつまづいているような気がする。



「これクリアできないと次のシリーズやっても仕方ないんだよなぁ。データ引き継ぎ特典欲しいし……」



これは持論だが、RPGなんてのんびりストレスフリーにプレイ出来てなんぼである。つまりこれは私の基準からすれば「クソゲー」も良いところ。



もちろん、実力不足やアイテムの回収忘れ等々の怠慢でクリアできないから「クソゲー」などと宣っているわけではない。



このゲーム、やたら集落の描写がリアルなのだ。——悪い意味で。



一つ目の集落では、魔物を阻む退魔結界が壊れたとかそういう理由だろうに、「村に魔物をおびき寄せた裏切り者がいる」と惨い粛清が行われていた。



もう少し進んだ、いくつ目かの町では、「魔物に打ち克つには信仰あるのみ」などとうそぶく胡散臭い(もちろん「教会」非公式の)宗教組織が人々から財を吸い上げていた。



正直言って胸糞悪い。



こっちは二次元の勇者一行による華々しい冒険劇を求めているというのに、極限状態の人間の醜いところまでも同時に見せられている。町の人々なんて「伝説の勇者○○の神殿は△△にあるよ!」みたいなことをリピートするだけで良い。言い方は悪いが、「駒」にそれ以上の役割を与えて悲惨な絵面になるよりマシだ。



「そろそろ寝ないとヤバいな。……そーいや明日小テストだわ、やっばやっば」



私は、電源プラグを抜いた。








そして翌朝、目覚めることはなかった。


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