第73話「学校スタート」

#第73話「学校スタート」


学校を作ることを平民に伝えたところ評判はとても良かった。


働かせるにはやや早く半人前だが遊ばせておくにはもったいない年ごろの子供たちが多く、勉強できて食事も付く学校は大歓迎という意見が多かった。


特に「読み書き・計算」ができれば将来的に様々な仕事に就く可能性が広がるし商人らに騙されなくなるのも大きい。


学校はまずは人数の問題も考えて5~10歳を対象にスタートすることにした。でも、すぐにそれ以下の年齢やそれ以上の年齢も入れてほしいという声が上がった。そりゃそうだよね。年齢を絞ると不公平になってしまう。これは今後の課題で真っ先になんとかしたいところ。



教師は思った以上に集まり30人も応募があった。そこで担任と副担任の2人の3人体制で進めることにした。


「この歳になってまだ仕事できるとは思っていませんでした。ありがとうございます」という年配の人や


「怪我して仕事できそうになかったけど教師ならできそうです。ありがとうございます」と騎士団を引退した人からも感謝の言葉をもらった。


こちらの世界では「働けない=お荷物」と考えている人が多い。それまで懸命に頑張ってきたのだからそれほど気にする必要もないと思うのだけどね。


でもまあ、新しく仕事をする人からそういった感謝の言葉を聞くとこちらも嬉しい。その気持ちを力に変えてたくさんの人材を育てて欲しい。



一方で生徒は約200人が集まりそうとのこと。5~10歳の子供の全員ではないらしいがかなりの割合で希望があったとのことだ。想像以上の人数で驚いたが、年齢別におよそ6つのクラスに分けてなんとか始めることにした。


「学校は凄い人気だな」と父さんも凄い驚いている。


やっぱりやってみないと分からないことは多いね。ざっと平民の声を聞いた感じとしては、もちろん学習意欲もあるようだけど、無料で教えてもらえるというのが刺さっているらしい。この辺りも含めて次の形を考えていきたいところ。



ただ人数が多く、いきなり校舎が少し手狭になりそうだ。午前と午後に分け、午前授業の子は午後に実習、午後授業の子は午前に実習という形にするのがいいか?


もしくは曜日別にして2日に1日のような形にした方がいいかもしれない。毎日でも勉強したいという声もあったが別に毎日にする必要もない。2日に1日でもいいし3日に1日にしてもいいだろう。それでも1年もあれば「礼儀作法・読み書き・計算」はかなり身に付くだろう。



あぶれた人のために夜学もスタートすることにした。夜学は大人も対象にしようとしたがこちらは1000人以上の希望があった。そのため1週間に1日という感じで日替わりコースにしたがそれでも厳しい。


こちらはどうしても抽選となった。あぶれた人達の方が圧倒的に多い。とりあえず1年以内に次の段階を考えるということで納得してもらった。今後は夜学用に何らかの兼用施設を作るのも考えた方がいいかもしれない。


その他には教材作りが間に合わないという問題もあった。とりあえずは数を揃えるのが大変なので貸出制とした。本当は持ち帰ってもらって予習復習などもしてもらった方がいいのだけど授業の時に貸し出して授業が終ったら返却してもらう形に。


その辺りの課題や提案がいろいろ出てきた。


それを煮詰めて父さんとマルク兄が少しでも良い方向にと形にしていく。


ちょこちょこ俺に相談に来るのは何で?と思うけどほぼ最終の確認が多く全く問題ないと思った。最初から完璧なんて無理。だいたいの形で進めてどうしても必要があれば改善していくしかない。



ということで様々な想定外もあったが俺の提案通り、騎士団の演習場が解体されて簡易的な校舎が作られていった。騎士団の演習場は森の近くに移動した。


学校が……前世の学校と比べるとかなり簡易的で質素だが形になっていく。ちょっとした感動ものだ。ここでみんなが勉強すれば数年で教育レベルは格段に上がっていくことが期待できる。仕事も効率よく回っていくのではないだろうか?今からワクワクする。



そうして校舎ができ学校がスタートすることになった。


父さんには学校責任者として開校の挨拶をしてもらった。最初は戸惑っていたが、さすが領主だけあって立派な挨拶だった。母さんも家族も誇らしそうに見ていたよ。



そうそう最初は5~10歳だけの予定だったが、希望者から11歳以上の子供も何人かまとめ役として入学してもらったんだ。


出席管理や研修の管理などをリーダーとして任せている。これが思った以上に助かっているようだ。特別に入ることができたということで責任感があるのだろう。凄く頑張っている。もう少しリーダーを増やしてもいいかもしれない。



農産物の生産、酪農などの仕事は単純作業がたくさんある。

様々な作業についてリーダーが子供たちに指示を出していく。当然、大人のように作業は進まないがそれでも人手が多いことは武器だ。作業がどんどん進んでいく。大人になったら更に戦力になることだろう。


その他、早くも頭角を現している天才的な子供も何人かいるようで計算が得意な人は早くもリナ姉の会計も手伝っているそうだ。


あと、リーダーの子供に指示を出す大人の教育にもなっているとマルク兄が喜んでいる。


そうだよね。人に指示をすることも大きな大切な仕事だ。上からの意見や下からの意見を聞いて効率よく作業を進めていく。管理職のようなもので精神的に辛いこともあるかもしれないが成長には必要なことなので頑張って欲しい。



こうやって現実には課題だらけ、問題だらけだけど形だけは学校がスタートし授業も始まった。


更に問題も出てくるだろうけど何とか頑張って進めて欲しい。学校、そして教育は領の希望の1つだと思うからね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る