第4話 ルナの石板
オンボロの病室だけれど、朝の明るい日差しに
(アカデメイアっていったい何?)
風子は、
とたんに風子の目が輝いた。
冒頭に大写しになっていたのは、アカデメイア大学附属博物館。古代ウル帝国の図書館に起源をもつという世界有数の博物館で、古代学研究の世界的拠点でもある。
ページを
(うそおお。こんなのがあるわけ?)
博物館が所蔵するウル古文書の写真が載っていたからだ。世界で数点しか発見されていないルナ石板の写真もある。
まだらな記憶の中で、曾祖母たる大ばあちゃんの言葉が蘇る。大ばあちゃんは、何度もルナやウルの神々の物語を聞かせてくれた。
大昔、天からあるところに神々が降り立った。ルナの神々じゃ。
ルナの神々は、
ルナの神々が住むのは、緋月の村。飢えも病も死すらない楽園じゃ。じゃが、どこにあるかはわからぬ。天上か、地下か――いずれにせよ、ひとがたどり着ける村ではないという。
ルナの神々は、ルナの民を生み出した。ルナの民は、ルナの神々に仕え、自然の
だがのう、人間というものは勝手な生き物じゃ。
ルナの神々は、
豊かなルナの国を荒れ果てた野に変えてしもうたのは、ルナの民じゃ。ルナの国は遠い昔の小さな国。じゃから、ずっと実在しないと思われてきた。ところが、百年ほど前にルナの大神殿が見つかっての。十年ほど前にはルナの石板も見つかった。今では、ルナの国はルナ古王国と呼ばれておるそうじゃ。
風子よ。おまえの母さんは、ルナ古王国の石板を発見した一人での。その後もずっとルナ古王国のことを調べておる。じゃからな、風子。寂しゅうても我慢するんじゃぞ。このわしがついておる。わしゃ、死んでもおまえを見守り続けるぞ。
その顔を覚えてもいない母。大ばあちゃんの語りの中でのみ知ることができた母。
アカデメイア博物館のルナ石板は、きっと母――「お母さん」と呼ぶのすら遠い人――が見つけたものの一つなのだろう。
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