まず最初に
「で、次にすることなんだが...初配信のスケジュールだ。」
「決めてあったはずだが...。」
「...えぇ...そうですね。一時的には決まりましたよ?男1人に女2人...まぁ正確には違いますけど、これだけでも分かるんじゃないですか?」
男1人に女2人の事件なら4つ近くあったはずだけど...状況的に同期の話なのだろう。
つまりはあれだろうか。
trick自爆事件
2年近く前に起きた炎上のことだ。
世間ではtc浮気とも呼ばれていたそれは、男女比1:2でデビューしていた某事務所の3人の炎上を表している。
本人たちは納得してのこととの弁明かもよく分からない言葉やCP固定派やらユニコーンやら、事務所のキャパシティを超過した連絡数で擁護すら出来なくなっていた。
trickは同期名でtとrとcが頭文字だったからのはずだ。
「その話は未だに残っていて杞憂民すら湧いているらしいので、その人数比はやめておくことになりました。それによって私たちも急いで作ったビジュアルで配信をすることになったんです。」
「なるほど...。」
「結局杞憂やらが来るのだろうが...まぁマシにはなるだろう...といった形だ。」
...1つ気になったことがある。
佐々井さんが指輪を付けていることだ。
漫画等でベタなイメージがある左手薬指ではなく左手小指ではあるが...イラストレーターであることを踏まえれば邪魔になりにくいため理解出来る...かな。
それはともかく既婚者であることも火種になりえる憶えがあるのだが...聞いてみるとするか。
「ところで...その指輪は?」
「察してるとは思うが結婚指輪だ。そうか...。同業に明かしてはいるが公言はしてないな。」
「一応ガチ恋対策とかした方が良いんじゃないです?」
「...分かった。少し相談してみる。」
ひとまず、間違っていなかったことと炎上の事前阻止を出来たことで一旦安心。
いや、回避出来たとも言い難いのでまだだが。
「そうだ。カプ厨?ってやつは?」
遅れている1人を待っているのもあるだろうが、なんとなく静まり返っていた部屋で言葉を発したのは追さんだった。
...カプ厨。男女関係の杞憂をする人の逆で、男女関係を探りにいく人のことを指す...イメージがある。
代表例は俺の姉だ。
姉はカプ厨の中では有名らしいが、置いておく。
その姉が言っていたことを思い出すとカプ厨に関しては大丈夫だろう。
杞憂に関してはデビュー時からしている輩が多いとは思いたくないが...当日まで分からないな。
優子さんは何か考え込んでいるような様子もあるが、情報共有、所謂報連相は重要なのだ。
「姉から聞いた話だと大丈夫だ。」
「姉...?」
姉に会うたびに他人の恋愛について語られる。
あの綺麗な家や美味しい料理の代価と思えば、小一時間程度は安いものなのだが...面倒だ。
ただ、こういうときに活かせるならばもう少しゆっくりしたりしても良いかもしれない。
...ちなみに姉自身は恋人や結婚する気はないらしく、一人暮らしのため丁寧に掃除されていることで空間を持て余しているように見える。
それもさて置き、姉の下には様々な恋愛関連情報が集っており、いつの間にか政治家やプロ選手の弱みとも言えるような話が転がっていたりするほどだ。
そんな姉からの情報だと、《百花千歌》というVRMMOが最近熱い...らしい。
「《百花千歌》の海零と茜立が熱い...とかでカプ厨たちはこぞってVRや掲示板に潜っているって言っていた。そこまで集まらないだろう。」
「...そんなのもあったか。」
「SNS使ってたら嫌でも目に入りますよね。どうやらカップルの人気投票というイベントがあるらしいです。」
「なんでそんなに知ってるんだ?」
「情報収集の一環ですよ。念の為に流行は見ておこうと思いまして...。」
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