第27話

「その事務所と契約してるなら給料もいいんだろうな〜。羨ましいよ」


その言葉をきっかけに、みんなが次々と聞いてくる。


「給料どれくらい?」「日本よりやっぱ稼げる?」


矢継ぎ早に飛んでくる質問。


私は笑ってごまかそうとするけれど、声が上ずっていた。


「あ…えっと……その……」


すぐには言葉が出てこなかった。


(……こんなくだらない見栄、張らなきゃよかった...)


私は自分の浅はかさを痛感していた。



「給料は高くてここでは言えないのかもね〜笑」


嫌味ったらしくいうかなこの姿に私はイラついた。



そんな空気を読み取ったのか、じゅんがゆっくりと口を開いた。


「ルナは本社がある海外じゃなくて、日本にいながら活動してくれてるから今はボランティアで手伝ってもらってるんだよ^^

でも、契約してることには違いないからね!」


その一言に場の空気がふっと変わった。


「へぇ〜そうなんだ、すごい!あの事務所に求められるって本当にすごいよね!私たちはボランティアでも求められないのに....笑」


周囲のテンションが自然に戻る。

かなこも翔もさすがに何も言い返せなかった。


私も、そしてじゅんも、そこからは終始みんなの質問攻めにあった。


楽しくもあり、どこかくたくたになる時間。


やがてお開きの時間が来た。


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