第25話

「え〜知りたい〜!」


「気になる〜!」


周りのテンションが上がる中、私は胸がギュッと締め付けられた。



(この流れで私の仕事なんて聞かれたら....自慢できるようなものじゃない)



じゅんは軽く笑いながら答えた。


「俺?海外の芸能事務所働いてるよ^^〇〇ってところ」


その一言で場の空気が一気に変わる。



「え〜!?すごい!」「有名なとこじゃん!」


「主に何やってるんですか!?」

と質問攻めにあうじゅん。


(……もう帰りたい)


そんな気持ちで沈みかけた私にまたかなこが絡んでくる。


「そんな人といるなんて〜ルナもすごいんだろうね〜」


嫌味だとわかって言ってるのが丸見えだった。


私が口を開こうとしたその時、


「ルナは俺と一緒に振り付け考えたり、作詞もしてるんだよ^^」


と、じゅんがあっさり言ってくれた。


「え!マジで!?ルナすごいじゃん!!」


「さすがルナ!昔からダンス上手かったもんね!」


一気に盛り上がる周囲。


私は慌てて「いや、趣味みたいなもので…」と言いかけたけど、誰も聞いちゃいなかった。


――かなこの表情は明らかに悔しさで歪んでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る