(仮)この美しい世界のために
ラムココ
第1話
「ーーと同じ骨が昔見つかっていたという噂がありまして、あくまで噂ですが、事実だったら大変興味深いと思い、いろいろな方にーー」
「せんせぇー。教科書にそんなこと載ってないですよー?」
「い、いえ、噂は本当にあるんですよ! というか都市伝説⋯? でっ、でも、火のないところに煙は立たぬって言うでしょ!」
「でも先生、それ噂でしょー? テストに出ないことじゃなくて出ることちゃんと話してくださいよぉ〜」
「うっ、ご、ごめんなさい⋯」
クラス全員の心が一致する。あぁ、また先生の歴史オタクが発動したな、と。いつもの流れにクラス中から呆れ笑いが漏れる。
僕の口からも、つられて笑いが出る。
ーーなんて平和なんだろう。
現代に生きる者なら、誰しも一度は、非日常に憧れたことがあると僕は思う。
しかし、憧れている反面、この平和な現代日本の生活を手放したくないと思っている。
憧れというのは、手元にないから生まれる。
だがほとんどの人は、よほどの命知らずでないかぎり、例えば異世界に行くか、地球に残るか選べると言われたら、地球に残ることを選ぶだろう。
⋯とまあ、こんな益体もないことを考えるくらいに平和である。
僕は昔から、他の人よりちょっとだけ勘が良いと、周りからよく言われる。
例えば、我が家で飼ってる犬が脱走した時、勘に従って探したら見つかったり。
今日の夕飯を当てたり。
天気予報では晴れとなってるが、明日降りそうと僕が思ったら本当に降ったり。
どれも些細なことではあるけど、こんなことが結構頻繁にあるのだ。
僕に何か予知能力みたいな能力があるとは思っていない。ただ、人よりちょっと勘が良いだけ。
そんな僕の勘が授業中、告げた。
ーー今日これから、何か起きそう、と。
まぁ当たることが多いと言っても、当たらない時も当然ある。
事前に少し構えておくくらいの気持ちで、僕はいつも受け止めている。
「じゃあ、今日の授業はここまで! 次の授業までにきちんとワークやってきてくださいね? テストに出ますから! ではまた来週〜」
四限目の授業は何も起こらなかった。
起こるとしたら、何が起きるんだろう。何か良いことが起きてほしい。
そう思いながら、僕は昼食の準備を始めた。
結局、放課後まで何も起こることはなかった。強いて言えば、最後の授業で、先生に当てられたことくらいか。
何か起こるっていうのは、このことだったのかもしれない。
僕はホッと息を吐き、下駄箱で上履きからローファーに変え、学校を出た。
ーーー瞬間。
景色が、一瞬で切り替わった。
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