第38話 絶対という言葉
「レイス。マーガレットに話があるから部屋には入らないでもらっていいかな?」
「あ、はい!かしこまりました!」
え、話?何の?
「行くよ。マーガレット。…あ、マーガレットの部屋どこ?案内してね。」
「…はい…」
部屋に入れば扉が閉まる音。
「ユーリス様…話って…」
「俺言ったよね。帰ったら覚えておきなよって。」
…ああ…そうだった…
完全に忘れてたよ…
いやいや、ちょっと待って…
こうやって無事だったんだし、それに一人より二人の方が安全だから良くないの…?
「あの…ユーリス様…?こうやって無事に帰れたのですし…良いではありませんか…」
「…はあ?」
ビクッと身体が震える。
そして私はベッドの上に連れて行かれ押し倒される。
「それは、今無事だったからでしょ?もし、無事じゃなかったらどうしてたの?それに絶対なんて言葉は存在しないんだよ。もう少し、自分を大切にして。俺一人でも大丈夫だったよ。あの人数ぐらいならね。君に真っ直ぐな目で言われたから俺が折れただけ。マーガレット。君はもう少し、信用と甘えることが出来るといいね。」
言い返す言葉が浮かばない…
ユーリス様の言う言葉は正しい…
自分でも分かってる。
人に甘えることが出来ないこと。
そして、信用を出来なくなってしまったこと。
甘えることはまだしも、信用できなくなってしまったら終わりだと思う。私が人を信用しなくなったのは確実にロベルトの浮気からだ。そこから人を信用しなくなった。信用してもいつかは裏切られる。
───人間ってそういう生き物でしょ?
だからといってユーリス様を信用してないわけじゃない。むしろすごく信用している。だけど、分かるでしょ?いくら強い人間でも負けるときは負けるし、死ぬときは死ぬ。それなら、力を貸して手助けをすることは間違った行動ではないと思う。
だって…
「あそこで私が行かず、ユーリス様が一人で戦ったとしても勝てたと思いますか?絶対という言葉はないんですよね?それなら、あの時、ユーリス様が一人で絶対に勝てたという保証はないんです。」
「それは…」
私はユーリス様から逃げ、今度は私がユーリス様を押し倒すような形になる。
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