【閑話休題】エピソード:イーグラン①

side-イーグラン


スタンピードの終結から数日後


私は領主であり、旧友のバルドルの元を訪れていた。


「やあ、数日ぶりだね」


「はぁ、お前も手伝ってくれてもいいんだぞ?」


「ただの神父には荷が重いよ」


大量の報告書に参ってるみたいだね


「無理やりにでもやらせるか…」


おっと、早く本題に入らないと


「それで?なぜ私を呼んだんだい?」


私の声に彼は手を止めて話し始めた。


「ああ、2つ聞きたいことがあってな。


まずは教会のものとして聞きたい、オーバーロードとの戦闘中、奴は『神はもう居ない』と言っていたのだが、


これがどういう意味か…わかるか?」


「神が居ない?

…すまない、私もそんな話は聴いたことがないよ。」


「機密の情報で隠されてるとかはないか?」


「そんなに引っ掛かるかい?魔物の言ったことだよ?」


「うむ…胸騒ぎがするんだ、これを放っておいてはダメだと」


「調べるにしても、堂々とは聴けないよ…僕の立場もあるし、内容が内容だ。」


「なんとかならんのか?」


「はぁ、一応知り合いに頼んでみるよ」


「すまないが、頼んだ」


「いいさ、息子の面倒もみてもらってるからね」


「そうだ、もう1つについてはそれだ。


今回のスタンピードの件で王都に行かねばならんのだ


ユリウスの入学もある。父上とジーク、クラリスも王より招待があってな…」


「あはは、総出で行くみたいだね」


「まったく、王都の連中には困ったものだ…」


「スタンピードも終結したし、暫くは魔境も大人しくなるんじゃない?」


「普通ならそうなのだがな…」


「話はその間の警戒を依頼したいってこと?」


「そうだ、それに妻の事もある。本当なら街を離れることすら嫌なのだが…」


これは断れないな…


「私、神父なんだけどなぁ…期間はどれくらいだい?」


「2ヶ月から3ヶ月と言ったところか」


そこそこ長いが、無理と言うレベルでもないか


「はぁ、分かったよ、早く帰ってきてくれよ」


「もちろんだ!ありがとう!」


「それにしても、息子たちは呼ばれなかったのか。」


「うむ、あの歳で将軍級を倒すのは、100年に1人の逸材と言われても可笑しくないのだがな」


「クラリスちゃんの影に隠れちゃったね」


「シリルはまだしも、レオンは死体すら消し飛ばしてしまったからな、騎士団内でも疑問が出てしまっている始末だ。」


「でも、長男のユリウス君だって、武力はそこまでだけど、国王に呼ばれてるんだよね?」


「ユリウスの功績は指揮能力だな。


前回より大きなスタンピードでも、被害が少なかったのはあいつが適宜細かく指示を出していたからだ。」


「彼のお陰で君の不祥事も揉み消せたしね」


「ああ、魔境にも詳しく、自衛もできる指揮官だ、アークレイン家の党首にこれ以上相応しいものも居ない!」


「そうなると次は婚約者選びが忙しいね」


「いや、あいつは自分で見つけてくるだろうから心配しておらんが……

問題はクラリスだ」


「そうなの?今回の事もあってすごい人気みたいだけど」


「……以前に聴いてみたのだが、


自分より強くワクワクする戦いができることが条件だと言っておってな…」


「ゴブリンキングに勝てる彼女よりも強いことが条件なのか…」


「あぁ、正直相手探しは今回の件で絶望的になってしまったわ。」


「まぁ、その内いい人が見つかるよ!」


「私はお前の息子に期待しているがな?」


「シリル?そうなの?」


「クラリスはどうか分からんが、シリルは見ていればわかるぞ?


それにお前の血筋だ。何があっても守ってくれるであろう。」


「あはは、なんの事だか」


僕はとぼけながらも家のことや、

私たち一家がここに来るまでのことが頭によぎっていた


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