第2話 古いの?

朝のルーティンを終えて、境内の掃除をする。

竹箒は固くてあんまり扱いづらいが、この家にはこの箒しかないから仕方がない。

「ふぅ、掃いても掃いても、落ち葉があるなぁ?」

何時まで経ってもきれいにならない境内の秘密をあたしは知っていた。だからこそそう呟いた。

「なんでだろーね。」

白々しくそう答えた雪をあたしはやつの尻尾を探し、あたしはわざとらしく踏んだ。

「ふぎゃっ!?」

間抜けな声を上げた雪を笑ってしまわないように堪えながら心配した。

「あ!ごめーん!踏んじゃった!」

「鈴のイジワル〜!!!!」

雪は涙目になりながら訴えてきた。その顔を見て更にわらいそうになって困った。

「おーおー、まーたやってるよ。」

くすくす笑いながら、階段を上がってきたのは、凛ちゃんだ。

「りーん!鈴がいじめる〜!」

わーんと言わんばかりの勢いで、雪は凛ちゃんに飛びついた。

「すずは野蛮なの。」

ウナちゃんはそう呟いた、その言葉に思わず

「あぁ?」

つい悪態をついた。

「ひゃあっ。」

あたしの威圧に押され、ウナちゃんは凛ちゃんにすがりついた。

ウナちゃんは凛ちゃんの二の腕あたりのしがみつき、雪は足元にすがりついて、今の凛ちゃんはもふもふの大渋滞だ。

その状態に少し嫉妬のようなものを感じつつ、

「じゃあ、あたしお茶淹れてくるから。凛ちゃんたち縁側に座っといてよ。」

そう伝えて、お茶をいれるついでに竹箒をなおしに行った。

「ね、雪くん、鈴更に怒ってなかった…?」

「さあ、鈴は怒りっぽいからわかんない」

おまえら聞こえてんぞ…!!!

一度はお茶っ葉大量に入れてめちゃくちゃ苦くしてやろうかと思った思ったが、無駄にはできないから辞めることにした。


「で、昨日言ってた情報収集どうだった?」

「いやー、近所の人とかに聞いたけどあんまいい情報はなかったよ。」

そう言って凛ちゃんは頭をかいてこう続けた。

「なんかね、みんなよく知らないっぽいんだよねあの洞窟のこと。」

お茶を飲みながらあたしは聞いていて、少し気になったのでお茶を置いて尋ねた

「知らないって?」

「良くないものがあるっていうのは分かってるけどその詳細は知らないって感じ。」

「なるほど…?」

煮え切らない返答にあたしは頭を悩ませた。

「うーん、そういえばあたしも昨日ここにある古い書物を見てたんだけどね。」

「古い書物?」

「うん、昔退治した妖怪とかが載ってるやつ。それになんか書いてないかなって思ったんだけど、ないんだよね。」

「あの洞窟についてのもの。」

そう言うと、凛ちゃんは深刻そうな顔をして俯いた。その沈黙が耐えられなくて、もうひとつ気になったことを尋ねる。

「その、ほんとに凛ちゃん呪われてるの?」

「うーん、まぁ私もそう思ったんだけどね…ウナがそう言うんだよ。」

「りん変な感じしたの!」

そう言い切り、会話に割り込んだのはウナちゃんだ。

「うん、俺も思った。普通じゃないって言うか…」

それに同調するように言ったのは雪だ。その言葉を聞いて凛ちゃんは得意げな顔をしてこういった。

「うーん、まぁ、私は妖力を持って生まれた美少女だから普通とは違うんだけどさ?」

そういう凛ちゃんに意地悪したくなってあたしはこう言ってみた。

「つまり、雪とウナちゃんの話をまとめると」

「凛ちゃんは人間じゃないってことだね?」

「サラッと酷いこと言わないでよ鈴ー。」

「やっぱなんか怒ってる?」

嘘泣きしながらちらりとこちらを見た凛ちゃんは正直滑稽だった。友達を持つってこんな感じなんだと噛み締めながら、こう返す。

「別になんにもないけどー?」

あたしは凛ちゃんから顔を背けて、お茶請けに出してたおせんべいをつまんで食べた。

「鈴、図書館にいかない?」

「図書館?」

あたしが凛ちゃんの方に顔を向けたら安心した顔をして

「よかった、やっとこっち向いた。そ、図書館。あの商店街を抜けた先にあるやつ。」

「…あー、行ったことはないけど、地図でよく確認してるよ。」

「地図?なんのために?」

「どこに何があるのかを把握するためにね。」

「ふーん…。」

凛ちゃんはそういって、立ち上がった。

「そうだ、もう12時だしお昼外で食べようよ。」

「いいね、そうしようか。」

あたしもそれに続いて立ち上がる。

「俺達お留守番…?」

雪が恐る恐る聞いてくる。あたしはにやりと笑って、

「そうだねー、いい子にするなら付いてきてもいいけど?」

それを聞いた雪とウナちゃんはぱっと明るくなって、

「いくいくー!!!おでかけおでかけー!!」

騒がしくなった…言わなきゃよかったなんて考えてたら、凛ちゃんが笑いながら

「そんなに騒がしいとお留守番だぜ?」

なんて言うもんだからふたりはぴしっとだまった。

「「ぷっ、あはははは!」」

二人揃って声を上げて笑った、揃ったのもおかしくてふたりともツボに入っちゃって困った。

「ひー、お腹いた〜。」

笑いすぎて出た涙を拭いながら凛ちゃんはそう言った。

「ふー、そうだ。凛ちゃんせっかく商店街で御飯食べるんだし、甘味処でおやつも食べようよ。」

「かんみどころ…?」

目をぱちくりさせて凛ちゃんは反復した。

「やだ、鈴言い方ふるーい。茶店じゃないの?」

凛ちゃんはにやにやしながら言ってきたから、あたしつい聞き返した。

「え、甘味処って言葉…」

「古いの?」

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