組織、最下層を目指す
これにより、停滞していた、最下層を目指す組織が活動を再開したのだ。
『パッチワークの覆面組織〈
〈戮殲鏖蒐〉は、鴉狩りと呼ばれる同業者との戦闘を楽しむ為に活動を開始。
そして、多くの組織が動き出した中、現在こそが彼らにとっての全盛期であった。
ふと、思いついたかの様に、呉嶺玄は彼女に向けて言った。
『そうだ、お前も来いよッ!!きっと楽しいぜェ!!最下層まで行けば、そういう奴らがゴロゴロいやがんだッ!!』
それは勧誘であった。
この男から出て来る言葉の全ては、竜ヶ峰リゥユの神経を逆撫でする様なものであった。
『……あたしはそんなのに興味はない』
彼女は今が好きだった。
幽谷りりすが傍に居る、友達が居る、この日常が好きだった。
それを崩す様な真似はしたくなかったし、彼女には役割がある。
呉嶺玄の勧誘を断った、その時、呉嶺玄は断りの言葉に対して不満を漏らす事無く。
『ァ!?そうかよ、仕方ねぇなッ!!じゃあ、さっさと終わらせてくれやッ』
呉嶺玄はなんとも自らの運命を受け入れた。
このまま、呉嶺玄は彼女に殺されて人生を終えるのだ。
だが、呉嶺玄は此処で死ぬが、それで終わりでは無い。
彼の命が潰えても、再び、呉嶺玄の命は復活する。
それが、呉嶺玄の禍遺物による効果であるのだ。
『言われなくても、あんたを殺して、りりすを追うから』
このまま殺さず、じわじわと槍による攻撃で痛めつけた方が溜飲が下がるかも知れない。
だが、放っておけば、意識が残っている分、肉体の回復速度が凄まじい。
ある程度回復すれば、杭で抑え込んでいた体を無理矢理引き千切り、脱出を試みるだろう。
そうなれば、すぐにでも、竜ヶ峰リゥユを追っていき、殺しに来る筈だ。
竜ヶ峰リゥユだけならば、まだマシだが、幽谷りりすを巻き込む可能性がある。
この場で殺して、復活する時間まで時を稼ぐ、と言うやり方が最善であった。
呉嶺玄の甲冑の隙間に槍を突き刺そうとした時。
『っと、最後に……〈傀儡導師〉がテメェを追ってるぜェ?精々、気を付けろや』
それだけ、呉嶺玄が教えてくれた。
何故自分を追っているのか、それを聞こうとしたが、時間が惜しかった。
『あんたに言う事なんて、知らない』
その言葉と共に、竜ヶ峰リゥユは呉嶺玄を殺害した。
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