第2話 帰ってきた日本
//称号:異世界帰りを取得しました
目を覚ますと自宅のベッドの上だった。
「知ってる天井だ。」
10年前だから覚えてるわけない天井のことはさておき、周りを見渡すと昔の記憶が蘇ってきた。
学習机、漫画が入った本棚、高2の教科書に書いてある名前、間違いなく10年前の俺の部屋だろう。充電中のスマホを見ると2025/05/03/20:21になっている。うむ、間違いない。
さてと、、この成長し切った身体をどうしようか?
顔に関しては問題ない。というのもレベルを上げるごとに寿命が伸びる=老化の速度が遅くなっていく効果があるので顔に関してはむしろ若返っているまである。問題は身体だ、制服は絶対入らないだろうな、ズボンも太ももが入らないだろう。
学校ではGWで成長期と筋トレの成果が来たで無理やり誤魔化すしかないとして、、家族に関しては無理だ。
昼飯と晩飯の間に急成長で筋肉ムキムキ、身長175→185になるっておかしすぎる。
まぁでもなるようにしかならないか、、顔が同じだから本人と疑われることはないだろう。
階段の下からご飯よ〜と声が聞こえてきているのでむしろ堂々として降りていく。
リビングのドアを開ける。みんな椅子に座って俺待ちだったようだ。
「アニキ、遅、、⁉︎」
妹が2度見してくる。
無視して空いている椅子に座る。そういやこの席だったなぁとしみじみ思いながら手を合わせる。あ、3度見してきた。
父も母も兄も妹もみんな俺の変化が分かるのか、凝視してきている。俺が何か言うのを待っているのだろう。
俺は口を開いた。
「いただきます。」
一斉にズッコケる家族。家族ってこんな感じだったなとまた一つ感情が戻ってくる。
さて下を見ると、今日の晩御飯は米、味噌汁、サラダ、ぶり大根か。
タンパク質を効率的に摂るために魔族の肉ばかり食っていたから魚は久しぶりだ。
ぶりを一口食べると植物性の油が口に広がり、魚の繊維がすぐに崩れていく。美味しい。次に米を口に運ぶと口の中で懐かしい感触が感じられる。米など本当に10年ぶりだ。非常に美味しい。味噌汁で三角食べを完成させる。味噌も10
年ぶりだ。大変美味しく啜れました。
上品にサラダを避けながらご飯を食べていると、妹が話しかけてくる。
「アニキ、、いやお兄ちゃんですよね、、?」
顔を上げると皆、晩御飯に手をつけずにこちらを見ている。ふむ、どう答えるか。
「違う、、いや冗談冗談。」
違うと言った瞬間スマホを取り出しどこかに連絡し始めたので慌てて言い直す。
「なんか、寝て起きたら成長してたんだよね、うん、夢の中でプロテインのプールで泳いでたから多分それのせいだ。うん間違いない。」
流石に無理があるなと自分でも思いながら話す。
//スキル:詐欺師を獲得しました
//スキル:大根役者を獲得しました
おい、ログ黙れ、
妹はスマホの手を一旦止め、ふ〜ん?そうなんだ〜と言いながらまたスマホをいじり出す。今度は検索エンジンで急成長、筋肉、身長で調べているようだ。おそらく検索結果は詐欺まがいのサイトしかないからおすすめしないが放置しておく。
父の、飯食ってから話そかと言う鶴の一声により食事は再開された。サラダは検索中の妹の皿にバレないように移した。
◇
食事後、父と母の寝室に呼ばれる。
どう言い訳したものかと思いながら部屋に入ると、父からまぁ座れやの一言。
遠慮なく父のサウナ用インフィニティチェアに腰掛けて体を伸ばす。しばかれた。
大人しくちゃんと座ると父が話し始めた。
「色々と聞きたいことがあるんやけどな、、体デカくなってる本当の理由とか、急に身長伸びて痛くないんかとか、身体中に薄く残ってる傷跡とかな。」
そのふざけようから間違いなく龍一ではあるんやけどなと呟きながら少し考えて
「嘘つく時にあからさまにうん、うんが増えるからな、身体でかなった原因は自分でわかってるんやな?」
親だから流石に嘘も分かってしまうかと思いながらそうだねと答える。その後違法なことではないのかとか、変なことに巻き込まれてないからとか聞かれたが、もう全て解決して帰ってきているので大丈夫だと答えた。
「そうか、自分で解決できるならええわ。お前ももう17やしな。詳しいことは聞かんわ。」
正直助かった。じゃあ部屋戻るねと話して立ちあがろうとすると、あともう1個あったわと止められる。
「お前、いつから裸族になったねん」
身体を見るとパンイチの自分。そういえば10年前は服着るのが当たり前だったか、、
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