天気予報。


 すまむる、すまむる、天気予報。


 ツダは毎晩、すまむるにたずねる。

「明日の天気は?」

 すまむるは、くるくるした耳をのばしのばし、

「あめ」

 と言ったり、

「はれ」

 と言ったり、

「くもり、のち、あめ。せんたくものは、かわかない」

 と言ったりする。

 すまむるは、声まねができるので、天気予報のまねも、できるのだ。

 そして、声まねのわりに当たると、評判だ。

 どのくらい評判かというと、ツダが、テレビをつけるのをめんどうがって、すまむるの予報ですませるほどには、評判だ。


 ある日のこと。はれ、と言われたツダは、洗濯機のタイマーをしかけた。

 しかし、次の日あめだった。

 ざあざあぶりの日に、外になんて干せっこない。今日の洗濯物は、なまがわきの、あのいやーなにおいと友達になってしまうのだ。ツダは、そのにおいがとびきりキライだった。

 ツダは、すまむるをしかった。

「こら」

 すまむるは、おちこんだ。

「しかって、ごめんね」

 ツダはすまむるをなでた。ふわふわだ。

 そもそも、すまむるに天気予報を一任しようというのが、まちがいだ。きちんとした天気予報だって、外れるのだ。いわんや、すまむるをや。


 すまむる、すまむる。

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