マナーモード。
すまむる、すまむる、マナーモード。
ハヤシは試験を受けに来た。もちろん、すまむるもいっしょだ。
試験官が、試験の注意事項を読み上げる。試験中にすまむるを触らない。すまむるは鞄にしまって、マナーモードにする。当たり前のことだ。
ハヤシはすまむるの耳がくるくる巻かれた状態なのを確かめると、すまむるに耳当てをかぶせた。こうすると、すまむるは鳴かなくなる。耳当てはすまむるショップや電器屋に売っていて、ハヤシは、カラフルな柄のを好んでいる。
すまむるは電波を受け取るから、アルミがいいのだと言う人もいるが、そこまでこだわる人はあんまり、いない。
ハヤシはすまむるをマナーモードにした後も、すまむるを触っていた。試験を受けに来た他の人も、そのようだった。
試験の一分前になった。ハヤシは名残り惜しいのをこらえながら、すまむるを鞄にしまった。まだすまむるを触っていた人が、試験官に注意されて、すまむるを鞄に入れる。ギリギリセーフだ。
試験用紙が配られた。
「試験、はじめ」
ハヤシは試験の文字と数字に、没頭した。
「試験、終わり」
試験用紙を回収すると、次の試験まで休み時間だ。ハヤシはさっそく、鞄からすまむるを出して、なではじめた。
そして、試験の一分前になると、すまむるをしまう。
今日は一日、こんな感じ。
すまむる、すまむる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます