第44話 シキザクラ
隣県に、この時期に咲く桜がある。
仕事で訪れた日、現場を歩いていた僕は、山城の跡地で足を止めた。
赤や黄色に染まる木々のなかで、そこだけ春の気配が漂っていた。
四季桜が、咲いていた。
この辺りでは小原桜と呼ばれている。
春には控えめに咲き、秋には山を淡く染める。
桜は春のものだと思い込んでいたけれど、この花の本領は秋だという。
今年は先週、訪れてみた。
けれど、まだ早すぎた。
紅葉はきれいだったが、小原桜は枝先に1、2輪。
「なんか遠かったね。今年はもういいにするか」と、母。
下道で向かったので、片道2時間ほどかかってしまった。
来年は、紅葉と小原桜が同時に山を染める頃に、また訪れたい。
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