第11話 頂上からの眺め

 デラント村で1泊したのち、直ぐに山へと登り始めた。山道は大分整備されているようで、下山する人とすれ違ったりするくらいにはこの山を利用する人がいるようだ。


「はぁ…山登りってこんな大変なんですね…」


「あはは、ずっと坂道だからな。整備されてるから魔物が出ないだけマシだろ」


「それはそうですけど…」


 ここまでおよそ3時間くらいだろうか、レーテさんの見立てだと9分目くらいまで来たらしくもう少ししたら山頂に着く頃らしい。


「あと少ししたら山頂に着いてちょっと休憩出来ると思うからそこまで頑張るよ」


「はーい…よいしょっと…」


 テオさんの手を借りながら山道を進んでいくと、山頂と思われる場所に休憩所らしき家が建っているのが見えた。


「ほら見えたぞ、あそこが山頂だな」


「わぁ…やっと山頂だぁ…」


 山頂の家に入り水を買い、ベンチに座り込んだ。テオさんは私の行動に少し呆れたように笑いながら横に座った。


「全く…こんな子供があのマッチと互角に戦ったってんだから驚きだよな。可愛いものには棘があるってか?」


「そんなに褒めても何も出ませんよ?」


 昨日からずっとマッチさんとの試合の事を言われていたためこれからもことあるごとに引き合いに出されると思うとちょっとめんどくさい…。


 ちなみにちょっと気になったため、レーテさんに調べて貰ったのだが魔力量がここに来た時から3倍ほど増えていたらしい。そもそもここに来た時点でDランクと判定されるくらいの魔力量があったから、その3倍というとかなりすごい量だとのこと。ただ魔力増加も大分落ち着いてきているため、ここからは最初に言われた通り経験がものを言うことになりそうだ。


「別に何も望んではいないけどさ…まぁともかく私の相棒がここまで強いなら私もちょっと鍛錬

を頑張らないとな」


「テオさんは十分強いと思いますけど…でも魔法使いと勝負したかったらいつでも受けて立ちますよ」


「いや、やめとくわ…正直勝てる気しないからな」


 冗談混じりで苦笑いしながら答えたテオさんに向かって私も笑いかける。お互いこの2週間で話し方や性格が分かってきたのか出会った時よりもかなり穏やかに会話ができているような気がする。


「よし、そろそろ行くか!暗くなったら大変だしな」


「んぐ…んぐ……ぷは…はい、行きましょうか。ありがとうございます、少し元気になりました」


 持っていた水を飲み干し、先に立ち上がったテオさんを追いかけた。登山の準備をするためにそこそこ時間がかかってしまったため、休憩所の外に出ると日が少しだけ傾いていた。時間で言うと3時とか4時くらいだろうか。


「アリアー、見てみろここがデイトレナ地方とアウルダム地方の境目だってよ。私自身アウルダム地方に行くのは初めてだからちょっと嬉しいぜ」


「ここがそうなんですね…じゃあついに新しい地方に入るんですね」


 目的地であるアウルダム城下町があるアウルダム地方についに到達することになった。もう少し先に進むと柵がありそこからアウルダム地方を眺めることが出来るそうだ。


「おー!すげぇいい眺めだ!」


「興奮するのはいいですけど落ちないでくださいね。落ちたら流石に助からないと思いますよ」


 子供のように興奮しながら指を指しながら景色を眺めているテオさんに若干呆れながらも、柵の方に近づく。するとテオさんの言う通り、生い茂る森や川、奥の方まで見るとかなり小さく炎を上げる山などが見え普段の見ていた夜景とはかなり違うものの、これはこれで綺麗だと思った。


「お、見ろ。ちょっと小さいがあそこに見えるのが王都、アウルダム城下町だ。まだまだ距離があるなぁ」


「あそこがアウルダム城下町…私が今の目的地にしている場所なんですね」


 かなり距離が開いてるせいか具体的な距離までは分からなかったが、確かにそこにはミュージャンよりも大きい街のような建設物が見えた。あそこが一端の目的地でもありこの旅の終着点でもある場所。


「んじゃ、行くか!この景色を目に焼き付けて進もうぜ」


「はい、行きましょうか」


 この先もこの人と一緒に行動するかは分からないけど、この楽しい旅がいつか終わるその時までは全力でこの旅を楽しまないと。


『そうそう、出会いは偶然、別れは必然なんて言うけどさ、その偶然の出会いを楽しめる人がきっと人生を楽しめる人なんじゃないかな。いずれ別れることが分かっていてもさ』


『レーテさんにしては珍しく悲観的なんですね。まあでもそうなんでしょうねきっと』


『私は君より長く生きてるんだよ!?』


 テオさんだけじゃなくてこの人の扱い方も少しづつわかってきたような気がする。さて、これ以上のんびりしているとまたテオさんに置いてかれてしまうから、レーテさんをからかうのもここまでにしてテオさんを追いかけることにした。

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