第35話「水泳部の恒例行事」その1

時は4月の下旬になり、水泳部恒例のプール掃除の時間がやってきた。

その説明と5月以降に行われるプールでの練習内容を説明するために、空き教室に水泳部員が集められている。

「今、配ったプリントを見てください。今から、プール掃除の日程について説明します。去年と同じように1日で掃除を行います。日にちは5月3日の土曜日、午後の2時から5時くらいで、早く終わるなら早めに切り上げます…私からは以上です。では、解散」

『お疲れ様でした〜』

と小島順菜が説明し終わり、水泳部員達は各々帰って行く。、プール掃除というめんどくさいイベントが待っていると思うと心が憂鬱になり、桜坂花蓮は机に突っ伏していた。

「何やってるの?花蓮…」

「あ、愛美…プール掃除めんどくさいから、影分身して、私の代わりにやって」

「そんな事出来ないから…」

桜坂花蓮は冗談を言いつつも、プール掃除というのは一種の水泳部の恒例行事となっていて、避けて通ることはできない。もし、学校に水泳部がないのなら、誰がプール掃除をやっているかといえば、新一年生がやる場合が多い。

「そんなにめんどくさいんですか?」

「うーん、見ればわかるんだけど、屋外に置いてあるプールって体育の授業や部活で使わなくなったら、水を抜くんだけど、そうなると何ヶ月もそのままで放置する事になるじゃない」

「そうですね」

「水は抜くだけで、完璧に拭き取るわけじゃないから、砂がこびり付いたり、虫の死骸があったりで、結構、大変なんだよね。ね、愛美?」

「そうだね。屋内や屋根の下にあるプールは、あまり関係のない話だけど、普通の学校はそんな設備良くないしね」

「私、やった事ないんですけど、結構、大変なんですね…」

水泳の授業でプールが使えるのは、水泳部が掃除してくれたからなのかと武田佳織里は1人で感心していた。この感情は水泳部に入らなければ、わからなかった気持ちである。

「ま、なるようにしか、ならないね」

「そういうこと。当日、絶対にホースで濡れるから気を付けてね」

「え?どういうことですか?」

「プールに向けてじゃなくて、人に向ける人いるから、必ず」

「いますよね、そういう人」

「あ、夏美先輩とかやりそう…」

そんな、何気ない桜坂花蓮の一言に誰も反論はできなかった…

遠くから、『クシュン!』と誰かのくしゃみの音が聞こえた。まるで、3人の話を聞いていたかのように…

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