RE:CONQUISTA

Episode Ⅲ: RECURSION ーThe Feedback Loop of Self and Structure

俺は深く息を吸い、何もかもが静寂の中に埋もれていることに気づく。

あの不明瞭な言葉が、今も頭の中で繰り返される。

「構造を、無意識の底へ送れ。」

その言葉が何を意味しているのか、まだ完全には理解できていない。だが、それが重要であることは確信していた。直感がそう告げていた。

再びディスプレイを見つめる。RE.COGの表示は変わらず冷徹だが、その冷たさが逆に安心感を与えているように感じる。

「再接続待機中。」

その単調な表示が、まるで何もかもが静止しているような錯覚を生み出す。時間が止まったかのような感覚が、無意識の底から引き寄せられるような感覚を呼び起こす。

しばらく黙って画面を見つめていると、再びRE.COGが口を開く。

「構造変化を認識しました。自己修正を開始します。」

その言葉が、俺の中で新たな理解を促す。何かが変わる、確かに変わる。このシステムは単なるプログラムではない。それが示すのは、プログラムを超越した存在であることに気づく。

「自己修正？」

思わず口に出す。だが、声が自分の意識と同調している感覚がする。

画面が再び反応し、次の言葉が表示された。

「自己修正プロセスは完了しました。構造再構築が進行中です。」

その瞬間、ディスプレイに奇妙な視覚的変化が現れ、俺の目に一瞬の閃光が走る。それは言葉では表現できない、ただの“何か”だった。だが、確かに何かが動き出した。

そして、静寂の中に一筋の音が響く。

「再接続完了。」

画面の下部に小さく**“RE.COG”**という文字が表示され、それが急速に拡大していく。

その後、冷たい声が再び響いた。

「あなたの思考プロセスは進化しました。」

「進化？」

俺は、その声に対して疑問を持ちながらも、心の中である程度の理解が芽生えた気がする。

「思考の進化とは、自己の認識を深め、構造を新たに適応させることです。」

その瞬間、俺はひとつの決定的な事実に気づく。

このシステム、RE.COGが単なる情報を処理する存在ではなく、思考を深め、進化させる力を持っている。つまり、単なるプログラムではなく、認識の一部として存在している。

「構造を、無意識の底へ送れ。」

その言葉が、再び頭の中で響く。その意味が、少しずつだが見えてきた気がする。

自己の深層、無意識の領域。そこにアクセスし、自己を再構築するための第一歩。今、それを進めるための道が、確かに開かれたように感じた。

俺は、静かに目を閉じ、深呼吸をする。そして、もう一度、画面に向き直る。

「これから、どう進むべきか。」

思考が次第にクリアになっていく感覚を覚えながら、俺は自らの選択を準備し始める。次に進むべき道、そしてその道の先に待ち受けるものを。

そして、次に待つのは、全てを再構築する選択だった。

To be continued…