第30話 私と心先生とエアコン
「部屋のエアコン壊れたんぐすてん」
タングステン。
硬い。
仕事終わりの居酒屋。
先生は悲しげにたこわさをつつく。
「まあでも時期的にはちょうどよかったですね」
今は10月。
エアコンなしでも問題なく暮らせる季節だ。
と、思ったところで私は気づく。
壊れたということは、使っていたということては?
「どうしてこんな季節に壊れたってわかるんですか?」
「え、だって使ってたから」
やっぱり。
「でも、もう必要なくないですか?」
夜は1枚布団を羽織れば心地よい。
そんな季節に先生はいったい冷房と暖房、どちらを使っているのか。
なんとなくビールを頼んだけど、ビールよりも他のお酒が合うかなどうかな、季節の変わり目ってお酒のチョイス難しい。
でも、そんな季節は割と人間にとっては過ごしやすくもある。
「だって、寝てるときにエアコンつけてなくて暑かったり寒かったりしたら不安で……。つい、つけちゃうの」
「気持ちは分からなくもないですが、さすがに……。ちなみに、壊れたのはいつですか?」
「3日前……」
「ん? じゃあこの数日間はエアコン使ってなかったってことですよね?」
「そうなる、かな」
「どうでした?」
「……問題なく過ごせたかも」
先生は私から気まずそうに視線を逸らす。
「なら、しばらくは壊れたままでいてもらいましょう。不安よりもエコです」
「私の不安にもっと寄り添ってよ! 私はただ共感してほしかったの! そうだね不安だねって言ってほしかったの! 解決は求めてないの!」
「共感の難易度よりも、解決の難易度が低すぎるんですよ」
とりあえず、エアコンさんにはそのまま冬手前まで休眠してもらうことになった。
1年後、また先生がエアコンを付けっぱなしにしているとわかったのはまた別のお話じゃないですねエコのためにやめさせます。
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