その2 一蓮托生

「――昨夜あった、事件のことはご存じですか?」

 ドアを開けると、警察官が立っていた。

 僕はその警察官に質問されている最中だった。

 それによると、昨夜若い女性がこの近くで暴行されて殺されたらしかった。

「何か、心当たりはありますか?」

 言葉遣いこそ丁寧だが、どことなく詰問していると分かった。大方、犯行現場で若い男性の姿を見たとでも証言があったのだろう。

「いいえ、全く……」


 健人けんとの奴だ。そう思ったが言わなかった。


 全く、アイツは本当にロクでもない――巻き添えを食うのはもうごめんだ。

「――その時刻、あなたは何をしていましたか?」

「寝ていました」

 嘘は言っていない。本当に、僕は眠っていた。

 その後は、まあ型通りというか、ありきたりな質問が続いた。

 僕はそれに少し安心した。……疑っているといっても、大した証拠は掴んでいないのだ。そう確信するには十分だった。

「ありがとうございました。ご協力に感謝します」

 そうして、満足したのか諦めたのか警察官は帰っていった。


 僕はそれを確認すると、部屋の中を見渡した。

 アイツがやったのなら「記念品」があると思ったからだ。

 大して広くもない部屋だ。すぐに見つかった。

 それはベッドの脇のサイドテーブルの上にあった。女物のイヤリングが一つ。中央には宝石らしき物が付いている。

「また僕が眠っている間にやったのか。証拠ぐらい隠せよ」

 僕はそう文句を言った。

「うるさいな! 俺が何をしようが勝手だろ!」


 健人の声が僕の口から出た。

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