第34巻(何時間か、うちは)

 何時間か、うちはピアノを弾いてただろうか。

 きれいな女の人は、そのあいだ、ず〜っと、うちのそばで、うちのピアノの弾き語りを観て聞いてくれてる。


 そのうち

 休憩時間になったから、まわりのみんなに、お辞儀して、ピアノから離れて、音楽車両から休憩車両のほうに向かって行った。


 女の人は、うちのあとから、うちについて来てる。


 女の人は、うちの手をギュッと優しく握って


 「ポップちゃん!わたしのこと、わかんないか?わかるわけないか?」

って、うちのこと見つめながら言ってる。


 「あ、はいっ!ごめんなさい...わからないですぅーっ」

って、うちは答える。



 「わたし、100年後の未来から来たの」

って女の人は言ってる。


 「え?100年後の未来からですか?」


 「そうなのよー!100年後も、こうやって、今みたいにポップちゃんと、わたしは、しゃべってるのよー!」


 「あ、そうなんですか?」


 「そうなのよー!100年後も、ポップちゃん、さっきみたいにピアノの弾き語り、やってるのっ!」


 「えーっ(・_・;)ほんとですかー?」


 「ほんとよー!未来から100年前に行ったら、ほんとは、その頃の人とは、しゃべっちゃいけないんだけど」


 「じゃ、なんで、うちと?」


 「ポップちゃん、人じゃないからねっ」


 「あはは...そうですか?」


 「そうですよー」

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