小説の商業化可能性を評価する「客観的で、定量的で、定性的なAI」の作り方について
ラットヒル
00_プロローグ
俺はとある大手IT企業で働くエンジニアだ。
きっと誰もがその企業の名前を聞いたことがあるだろう。そのレベルの大企業だ。
しかし、俺がそこに入ったのは間違いだった。
大学時代に小さな小さなコンテストで自分のアプリが賞を取ったことがある。それが採用された主な理由だ。
だが、言ってしまえばそれだけだ。賞を取ったアプリは稚拙そのものだし、ストアにも公開していない。
正直に言うと、賞を取ったのも素晴らしいPVを作ってくれた友人のお陰だと思っている。
つまり、偶然だ。偶然、俺はその大企業に入れたのである。
当然、自分の実力が箔のついたその経歴に追いつくこともなく……落ちこぼれた。
落ちこぼれた人間が自然とそうなるように__鬱になった。
このままでは自分のメンタルが壊れてしまう。
そんな思いから、過去の自分の作品を1つ1つ掬い上げた。
まるで、深い海の底、自ら沈めた難破船から、わずかでも価値のあるものがないかと必死に手を伸ばすダイバーのように。
過去に音楽作りにも挑戦した、ゲーム作りにも挑戦した、イラスト作りにも挑戦した。
そのどれもが中途半端だった。
そして、小説も例外ではなかった。
小説家になろうのマイページに行くと、連載中の文字。
多くの作家がそうであるように、俺もまた未完のままの小説を抱えていたのだった。
何気なくその小説のページを開く。
その作品概要にはこう書かれていた
「完結までお付き合いください」
どの面を下げてそんな発言をしているんだ。
『この連載作品は未完結のまま約5年以上の間、更新されていません。』
このラベルが見えないのか。
顔に熱が昇るのが分かった。
過去の自分に向けた強烈な羞恥心に呑まれ、その作品を――削除してしまった。
その後悔は直ぐに来た。
俺は、何をしているのだろうか。
自分の作品を消して誰が喜ぶのだろうか。その作品に感想をつけてくれた人の思いはどうなる?ブックマークを付けてくれた人たちは、もしかしたら、読み返してくれたのかもしれない。もしかしたら、自分の小説を書くための参考にしていたのかもしれない。
俺は一時の恥のためにそんな愚行を犯してしまったのである。
戻さないと――そう強く思った。
バックアップはある。クラウドストレージの奥底で眠っているのを俺は覚えている。
クラウドストレージにあるゴミのようなデータをかき分けて、ついにそのバックアップを見つけた。
この時、俺にふと邪心が宿る。
(今の俺ならもっと良いものが作れるんじゃないか?)
それが始まりだった。
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