幼女魔王メアフェルの旅
格ゲー1日1勝
第1話 幼女魔王メアフェル
血に
ついに――
ついに、勇者の証をもつカレナの銀の剣が魔王ヴァハに届いたのだ。
深々と胸に剣が突き刺さった魔王は血を吐きながら膝をついた。
「がはっ……」
「地獄に……落ちろ……! 化物めッ!」
とても彼女のものと思えないくらい、威圧的で凶暴な声で、カレナが叫んだ。
そして銀剣を魔王に突き刺したまま、もう一本の剣を
勝った。
俺たちの勝ちだ。
これで戦争は終わる――
やれ、やってくれ、カレナ!
「く、フフフ。勘違いするなよ、人間」
しかし魔王は不敵に
「地獄とは……貴様ら下等生物が
カレナが大剣を振りかぶるが、魔王も構わず話し続けた。
「滅びゆく世界で……奪い、争い、殺し合い……死の恐怖に怯えながら……朽ちてゆけ! フフ……ハーハッハ……!」
魔王の高らかな笑い声も、そして首も。
カレナの剣が断ち切った。
***
「ミカゼよ、ちょいと大変なことになった」
「……はあ」
兄貴の個室に呼ばれて来たら、開口一番いつもこれだ。
ここ
俺を呼ぶのは大体厄介ごとを押し付けるためだ。
「あのなあ。魔王討伐からもう3週間だぜ? そろそろ休ませろよ」
「い、いや、疲れているのは分かっているのだが、これは我が国随一の
はい、いつもの。
「あーもう。何なんだよ、大変なことって」
兄貴は頷いて、ドアに向かって叫んだ。
「連れてこい!」
「……?」
ドアが開くと、そこには
「この子に見覚えはあるか?」
作り物みたいに白い肌、長い髪、大きな瞳。そして人に非ざる……美貌。
年齢はまだ十にも満たない。
「……」
そしてその少女の両手は石作りの手錠に縛られている。
首から下げているペンダントは呪具の類だ。
「うーん。思い出せないな」
「お前が魔王城から連れて帰った娘だ」
「ファッ!?」
いや、いやいや。
そういえば魔王城の地下に幽閉されていた娘を助けた覚えはあるが。
でも……
「給仕よ、あれを」
給仕がサラリと女の子の髪をかきあげると、かすかに尖った耳が見えた。
「鬼……か」
「ああ。西の国ではヴァンパイアと呼ばれる種族」
「冗談じゃないぜ」
この俺が吸血鬼を魔王城から連れ出しただと?
俺は地下牢で体中傷だらけで拘束されていた娘を保護した。
その時この腕で抱きかかえたのだ。
薄暗くて顔は殆ど見えてなかったが、それでも陰陽士の俺が鬼の存在に気が付かないわけがない。
兄貴は少女の石の手錠を指さした。
「……!? それも呪具か」
「高度に
「まじかよ」
陰陽士の名折れだぜ全く。
おそらく強力な封印の呪いが掛けられていて、そのせいで鬼のもつ力を俺が感知できなかったのだろう。
「で。ヴァンパイアとか言ったな。まさか……」
「うむ、お前の想像通りだ」
兄貴は手で合図して給仕を下がらせた。
「この事実を知っているものは他には退魔の連中しかおらん。この娘は――」
「……魔王の子」
「あたり」
ヴァンパイアってのも、元々ほとんど絶滅したはずであり、3年以上を要した魔王討伐の旅でも魔王本人とその直属の部下、合計2人しか見なかった。
そのヴァンパイアが魔王の城から出てきたんならそれはそういうことだろう。
ただ、その魔王の娘がヒドイ仕打ちを受けていたというのは謎だが。
しかしもっと謎なのは……
「じゃあなんで”処理”しないんだよ?」
その子を助けた俺としては悲しい話だが、殺してしまうしかない。
「言うな!」
「え?」
兄貴は険しい顔つきで魔王の娘を見た。
正確に言うと、その子が身に着けるペンダントを凝視した。
「まず一つ、お前の言う、それは不可能だ。で、そのペンダントが見えるだろう」
えええ。無理なの。
そして取り付く島もない感じで次の話か。
くだんのペンダントは明らかに邪馬都で作ったものじゃない。
胸のところにくすんだ真珠があつらえてあり、ゆらゆらと白い光を放っている。
「その子の精神的な負担が可視化される特殊な呪具……いや、チャームといった方がいいのかな」
ストレスチェッカーですって。
「そして世界の滅びを示す砂時計でもある」
「!?」
世界って、この世界のことか?
それって……
「結論から端的に言おう。この子が
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