(ボツネタになります)新世界XⅡ戦争 神話降臨と神への反撃

七雲 空

3話 遺跡を目指して 旧時代遺産:CUBE

カムイは旅の目的を改めてアンリスに話していた。

長老とカムイと知恵の神様、ウィルド様とのやりとりを

簡単に話すとアンリスは少し嬉しそうに長耳を動かしている。

責任重大なカムイは少し苦笑いしながら行先を伝えた。


「次の行先だがゴーレムがいる場所、遺跡に行って調査をする。

 だけど、争いになる事は避ける事を前提にして訪れるだけにしたい。」

「うん、理由はあっても戦ったのが原因だから」

「そうだ、道中も何があるか分からないから注意しような」

「でも、カムイさん。強いですよね」


アンリスが言うには平気に別の種族のテイトリーに近づいて、

よく分からない文明を使って戦闘も出来てゴーレムを倒した本人でしょ?だそうだ。

・・・他所から見たら冒険者ってそんな見えるのか。

機械かみさまだがエネルギーが切れてしまったので、

力の源となる旧時代の文明を探しつつ、

最初に出会った川より更に北を目指していて平原を歩いていた。

アンリスは出会った頃と違ってよく笑うようになり、

言葉使いも少しづつ丁寧に話してくれる。

道ゆく先で見た事ないものを楽しそうに見ては日記に書いては

焚火の暖かさに包まれていた。


「カムイさん、おんぶして。それか休憩しようー」


大きな森に入る前にアンリスが限界の声を上げる。

大人の体力と子供の体力では差があり、適度な休憩か補助が必要だったかと

気が付いてしまう。

だが、森の目の前で休憩してはゴーレムに見つかってしまう場合もある。


「よし、そうしたら休憩を何処かで取ろう。ただ、森や目の前で休憩するのは

 危ないから少し離れた場所に行って休もうか」

「うん、ありがとう」

「アンリスは森の中とか歩くのは得意な方か?」

「あ、そうだ。カムイに言っておきたい事があったんだった」

「言っておきたい事?」

「この森、少し変かもしれない」


具体的にどんな感じかと聞くとアンリスは指を指してくれる。

見た感じ何もない・・・いや、鉄線が張ってある、あきらかに異常だ。

この森に罠を張るって事は出入口を限定している可能性が高い。

敵が撤退しても足止めになるし森だけに戦闘区域を縛る事が出来るし、

罠を張った位置から追わなくて済むからだ。

少し森に入る前に休憩を取って作戦を練るべきだろう。

無事に休憩を取るとアンリスはカムイの荷物から食べ物を取り出す。


「やっぱり、森のエルフだけあって流石だな。

 あと、無理にさん付けしなくても大丈夫だよ」

「カムイにもお菓子あげるね。リンゴのパイ美味しいよ」

「それは良いけど、そんなに食べたら無くなってしまうよ?」

「大丈夫、沢山詰めておいたから!」


どうりで荷物に重みがあると思った訳だ。

アンリスは食べていると何かを思いついたかの様にあっ!と声を上げる。


「ロープ、ロープを投げて安全を確かめるのはどう?

 引っかかれば鉄線があるって分かるかも」

「ロープか。ありかもしれない。もう一つ安全策を取りたい所だ」

「じゃあ、帰り道に目印になる物を置いていくとか?」

「それだと、動物達が持っていくかもしれないな」

「知恵の神様、何か良い方法はありますか?」

(んー?遺跡を探すだけなら難しくはない。気温差があるのよ)

(じゃあ、案内出来るの?)

(行先なら出来る)


なら、地中を掘って熱になるものを埋めておくのはどうだ?

これなら行き、道中、帰りの3つは確保出来るはずだ。

アンリスの体力が回復した後、大きな森へと入っていくが楽しかった平穏は

一瞬で終わりを迎える事になる。

森の上からガサガサと音を立ててカムイの背後を取り、アンリスを何者かが

両手を抑えて捕まえてしまった。


「動くな。悪いがここから先へは行かせない」

「きゃー!エルフの子!?すごく可愛い!」

「ルッシェ殿、男の方はどうする?」

「フィーグル、人間の方は縛っておいて。海に連れ帰るから」

「了解」


男性のハーピーと女性のマーメイドだと。

男性のハーピーはカムイの背後を取り腕を抑えられ、

マーメイドがアンリスを両手で抱きしめている。

まさか別の種族が森にいるとは予想外だ。

フィーグルと呼ばれたハーピーには鉄脚があり鋭い爪がしっかりと見え、

ルッシェと言うマーメイドは下半身が人魚だ、彼女自身が水を纏い浮かんでいる。


「おい、人間。目的を言え。何の為に来た」

「アンリスを放せ、まずはそれからだ」

「お前は縛られるだけだ。話す口だけあれば良い」

「あ、あの!エルフの里の司祭、アンリスって言います!

 どうか話を聞いてください!」

「アンリスちゃんって言うのよね!さっき森で話していたのを聞いていたわ。

 そっちのカムイって男は手練れだから駄目よ」

「アンリスちゃんは人間いなくても私達が守ってあげますからねー」

(アンリス、動かないで。カムイ怒っているから)


カムイは体に力を使い後ろに頭突きするが外してしまう。

だが、その反動を上手く使い体を捻ると正面に向き合う状態になり、

荷物から体を擦り下げ荷物ごとハーピーに向かって拳を当てると態勢が崩れた。

そして容赦なく追撃をしようとするカムイに対し、翼を羽ばたかせ距離を取り、

ハーピーのフィーグルは翼を伸ばしそのまま降下して鉄脚をカムイに向けた。

地面に押さえつけると再び動けない状態にできたが、

そんな形勢の中、カムイから煙がいきなり上がってくる。


「えっふ、えっふ。なんだこれは!」

発煙筒はつえんとうっていう非難用具の一種だ。使い方は違うが煙は早い」

「くそ、煙が多い。お前は熱くないのか」

「熱いし痛いさ、でも使った以上は後戻りできない」

「・・・!。カムイ誰か来た!」

重石網おもしあみ、ハーピーが掛かった。人間も一緒?」


そこにやってきたのはゴーレムだった。

空から突如重たい網を飛ばしたのか、いきなり降ってきた網に避けられず

カムイを巻き込んで倒れてしまっている。


「はいはいー、マーメイドのルッシェちゃんがご説明しますよー」

「誘拐?」

「ゴーレムちゃん、違うわ!」

「お互い遺跡に用事があったんだけど、物珍しさに絡んだら痛い目にあって

 それでケンカになってしまったんよ。ごっめんねー」

「最初の言った事と随分違う気が・・・」

「カムイ?川と海どっちにいきたい?」

「じゃあ、違う?」

「そうそう!この縄を解いて欲しいんだけど頼めるー?」

「わかった」


状況を打破する為にマーメイドのルッシェが慌ててゴーレムに説明をすると

お互いに話し合う機会へと進んでいった。

5人の違う種族が集まる事は滅多にないが丁寧な自己紹介から話は始まっていく。

始めはマーメイドのルッシェが話を切り出してくれる事になる。


「まずはウチ、マーメイドのルッシェちゃん。こう見えて家出娘なんよ」

「俺はフィーグル。ハーピーだ。傭兵としてルッシェに雇われている」

「私はアンリス。エルフの里の司祭です。」

「カムイという。人間の冒険者でアンリスの両親を探している」

「コハク。ゴーレム。以上。」

「カムイ、お前は何故ナイフとかで戦わなかった」

「元々部族で争うつもりはない、アンリスの目の前でそんな事はしたくない」

「お前の荷物、変な重みがあったぞ。何か隠し持っているのかと思ったが」

「・・・カムイさん、後で荷物整理しましょうね」


家出娘だと。思わずアンリスを見てしまい目が合ってしまう。

何を言いたいのか分かってしまったのか、ニッコリ笑顔で返されてしまった。

フィーグルは傭兵のハーピーだったから強かったのか。

戦闘になってしまったが鍛え抜かれた体に強靭な足が強く身動きが取れず、

カムイの体に鈍い痛みが残っていた。

コハクというゴーレムは見た目がとても綺麗だった。

模様が入った石を上手く加工しており太陽の光に合わせて多彩な色が見える。

自然と調和した見事な輝きと女性らしさがあるのか綺麗と思えてしまう。

コハクは物静かに皆を見て言った。「全員、神様見える」とだけ。

一同驚いて少しの距離を取りカムイは思わず聞いてしまう。


「コハク、見えるのか」

「うん、見えるよ」

「なら、俺の神様の名前は分かるか。コハク殿」

「疾風の神、風神様ふうじんさまさっき使っていた」

「じゃ、じゃあ。ウチ、ウチは!」

「大海を司る神様、アグアラ様」

「カムイは機神歯車様エクスマギナさま。アンリスはヴィルド様」

「皆、何者?」


コハクは指をさしながら一人一人言い当ててくる。

ルーシェが凄く何か言いたそうだったがグッとこらえて

お互いが出会った経緯を正しく伝えてくれた。

その後、カムイとアンリスの出会った経緯と目的を話すと

フィーグルとルーシェは納得してくれる。

コハクはゴーレムが里を襲った事に少し疑問に思いつつ話を受け入れてくれたが、

フィーグルとルーシェも目的は似ているが明確にしなかった。

ドラゴンの襲撃に会った事は同じで遺跡に来たのには仲間を見つける為だそうだ。

そして、神様について一つ真実を知る事が出来た。

選ばれた種族から神様の声を聴ける者は必ずいる、コハクもその一人だ。

5人の種族が出会ったと共に5種族の神様が揃う状況が起きてしまう。

これは偶然なのだろうか。

そんな話をしている内に日が暮れ始め、

宿を取るべきだとコハクが提案をした為、それぞれが準備をしつつ

簡易的なキャンプを用意し始めた。


「カムイ、どうしたの」

「その、怒ったりしないのか。仲間を倒してしまった事に対して」

「・・・カムイ、よい子よい子」


その心遣いに少しだけ安堵を覚える。

コハクの手は少し細いが重みがありカムイの頭を優しくなでると

私と全然違うねとだけ言ってくれた。そうか、全然違うから考え方も違うのか。

きっと大事な話もあるけど話すのも時間の問題になはず。

ルーシェは乙女のたしなみ(水浴び)をしてくると言いアンリスを連れていき、

フィーグルは焚火の準備をしているタイミングだった。


「あ、ウチの神様の力よ。アグアラ様のお水を借りるから後で手伝ってあげる」

「お、おい。顔が笑っているぞ」

「えー、そんな事ない。そんな事ない・・・フフ」

「カムイ、こっちを手伝ってくれ。先にガラクタを燃やすそうだ」

「そんな悲しい顔をするな」

「・・・俺の信仰している風神様は戦闘本能を引き出す神様だ。

 武器を向けないという意思は確かに伝わった。」


荷物に隠していたガラクタは焚火の中で鉄の表面が解けると

炎がより輝きを増している。そんな輝きと共にカムイは少し落ち込みながらも

フィーグルとコハクは二人が帰ってくるのを待っていた。

一方そのころ。


「ルーシェ、あんまり触らないで!恥ずかしいから!」

「こんな美少女のエルフ初めてみたわー。あ、このハーブ香りが良いんよ」

「ルーシェとフィーグルって何者なの。お互い違う種族で旅してるとは思えない」

「ウチのわがままに付き合ってもらっているんよ。アンリスちゃん。

 2人の経緯のほうが一番変よ」

「・・・人魚って初めて見るけど、こんなに感じなの?」


ルーシェは月明りを水球を使い綺麗に反射をさせ、

摘んだハーブを水に含ませて浴びている。

マーメイドというだけあって綺麗であり引き寄せられる魅力があった。

アンリスの綺麗な髪をくしで何度も当ててサラサラになっていく。

二人で帰るとカムイはおかえりと言ってくれたので、そっと隣に座ると

カムイは香りが良いなと褒めていた。

そして、長い夜が明けると5人で行動し遺跡を目指す事になる。

少し長く歩くと模様が描かれている岩を少しづつ落ちており、

ついに大きな岩が無数に重なる遺跡へとたどり着くと異様な程静かな事に気が付く。

なあ、コハク。ゴーレムの仲間っていないのか?「いた」とだけ答えてくれる。

次に聞いたのは何が起こったと質問をしたが「わからない」と返した。

ねぇ、と聞くが「ついてきて」とだけしか答えてくれない。

その答えは、、、遺跡には巨大な四方体の物質が宙に浮いていてた何かがあった。

使用用途は分からないが間違いない、旧時代の遺産だ。

コハクに確認を取ると、カムイは周囲からエネルギーを取り

機械かみさまを起動させると声が聞こえてくる。


「マスター、お久しぶりです。・・・状況を確認しました」

「(ウィルドもいるのね、よかった。また会えたね)」

「(機械歯車エクスマギナって言われているのね)」

「((カムイ、アンリス、フィーグル、ルーシェ、コハク、お願いがあります。))」

「旧時代の遺産:CUBE《キューブ》を止めてください」


私が一人なのは、あの兵器が原因。

あれはね世界を改変する兵器なんだって。私の神様、ミカゲ様が教えてくれた。

最初起きた日に突然一人になった。理由なんて分からないけど一人だった。

つまりね、最初の改変が起きたのは「私達、ゴーレム」

言葉さえ改変されて思い出さえ改変されて残ったのは意思のみ。

慎重に言葉を選び信用出来るかずっと考えていた。

やっと、いえた。取りもどしたいって言葉じゃないけど言えた。

カムイ達は神様の力を発動させると、眠っていた兵器が目覚める。


「世界改変プログラム、CUBE起動します」

「行動禁止プログラム起動します。ゴーレムのデータを元に防衛を展開」

「皆、武器を取ってくれ」

「はい、カムイさん」

「ああ・・・ゴーレムが言葉を話さないのか理解した!」

「ウチの水、当たると痛いよ」

「・・・」

「この兵器を倒すぞ、皆!!」


CUBE《キューブ》という兵器の戦い方は違和感しかない戦い方だ。

誰かの情報を元に世界の一部を書き換えるという技がカムイ達を苦しめる。

六角形の岩が本体を守るように徘徊した後、何度も戦いが戻った感覚になる。

カムイとフィーグルは前衛に出てすかさず岩に攻撃を当てているが、

固い為かほとんど外傷がない。アンリスが後ろから合図をしてくれるお陰で

攻撃の薄い所は直ぐに分かるが直ぐに対策を取ってくる。

ルーシェは水を操りアンリスを守りながら攻撃を避け、

コハクが反撃をする事で岩は砕けていった。


「改変プログラム起動。5人の能力を一部制限します」

「うぐっ、、、」

「カムイ、機械かみさまは使えないのか!」

「分かっている。でも起動しないんだ!」

「既に3回改変を実行しました。カムイ様の能力は1に設定しています。

 1の世界であっても0に出来ない事は検証結果を得られました」

「なら、風神様よ。俺の闘争本能を目覚めさせてくれ!」


フィーグルは神様の力を引き出すと羽の色が濃くなり飛ぶ速さが格段に上がると

防衛していた岩の壁に鉄脚を当て一つ一つ破壊していく。

ルーシェは水球を繋ぎ合わせ飛んでくる岩を上手く避けた。

咄嗟にアンリスは大きな声で避けて!と叫ぶとCUBE《キューブ》は光線こうせんを規則的に出していき焼き焦げていく。

本体に攻撃したくても攻撃の当たり方が悪くなっていく。

そして反撃の一撃が命取りになる。


「改変プログラム実行。5人の能力を更に制限します」


CUBE《キューブ》は容赦なく実行するだけでフィーグルは

ふらつきながら空を飛びルーシェは段々と息切れをしてくる。

アンリスはカムイに声を張って状況を話してくれているが、

こんなに勝てる見込みのない戦闘なのか・・・

カムイ達も意識が遠のいていくがそれでも諦めず立ち向かう。


「絶対に、、、絶対に止めるぞ。あれは兵器で間違いない。

 あれがゴーレムの犠牲となった現況だ。神様が言うんだから間違いない」

「勝てる。勝てるから立つんだ。恐れず前に進むんだ」


気がつくとカムイの手に剣が戻っていた。

アンリスは懸命に状況を見て何か先を見ている。

フィーグルは既にボロボロになっているが燃える闘志が何度も勇気となった。

ルーシェは水球の数を増やし出来るだけ当て続けたり道を作ったりする。

コハクは・・・カムイの前に立ち守っていた。

ミカゲ様が加護をくれたから守れるとだけ伝えると、

アンリスが神様に向かい叫んだ。

5人と契約をした事により一つの結末を迎える事になる。

コハクは静かに目を閉じると遺跡の中から地脈を引き出し

CUBE《キューブ》に結ぶと一斉に5人がいる元へと集まっていく。

これは・・・情報だ、何と繋がっているのだろうか。

その答えを突然姿を見せたゴーレムが話してくれた。

神々に仕えし皆様、お願いがあります。我ら種族。ゴーレムは敗北しました。

あの遺産は過去と現在を改変し行動を変えてくる兵器です。

封印してきましたが能力でさえ奪われていましたが、私の力を貴方達に渡します。


「知恵の神、ウィルド様よ!我々5人と今、を!!」

機械歯車エクスマギナ起動!」

「風神よ、我に今一度力を!」

「う、ウチの神様もできる?アグアラ様お願い!」

「ミカゲ・・・様」

「「今一度、封印の力を甦れ!!」」


CUBE《キューブ》は神様の力を取り入れ起動していたのだ。




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