13話 新スタイル
「こういう武器を作りたいんですが、できそうですか?」
ウルテさんは相変わらず寡黙だ。
しかし、微かに頷いて、紙に金額を書いて見せてくれた。
どうやら俺の思っている武器を作ってくれるらしい。
値段は少々、いやかなり高額になったがオーダーメイドだし仕方ないか。
この世界はスキルという存在が非常に重要だ。
武器や防具の作成はスキルで行われるし、魔法付与もスキルで行われる。
ただし、こういったスキルはモンスターを倒して獲得できるスキルオーブではドロップしない。
それぞれが条件を満たし儀式を受けることでスキルを獲得できる。
このスキル獲得方法は秘術と呼ばれている。
俺が望む武器を作れるか不安だったのはスキルで使える素材や武器の種類が決まっているからだ。
頭の中にどんなに設計図があったとしてもスキルでそれらを作ることはできない。
もしもスキルを使わずに無理やり作ったとしても、それはハリボテのようなものでなんの戦力にもならない。
ではオーダーメイドとはなんなのかだが、素材や武器の種類が決まっていても、重量や長さなど細かなところはある程度自由がきくのだ。
武器が俺の注文通りに出来上がった。
次に向かうのは冒険者ギルドだ。
「すいません、訓練場を借りたいです」
「はい、承りました。オプションはどうなさいますか?」
武器や的となる人形などを貸し出しできる。
他にも訓練を見られたくない人専用の個別訓練場もあったりする。
あとは威力の高いスキルを試すための広域訓練場もか。
「軽戦士の訓練教官はいますか? こういう武器を使うんで基本を習いたいんですけど」
「こういった武器を使う訓練教官はいませんね。双剣使いでもいいなら声をかけますけど」
「では三時間でお願いします」
「少々お待ちください」
訓練教官はライセンスを取ったギルド職員や冒険者が小遣い稼ぎに指導をしたりするものだ。
「冒険者ランク6で双剣を使ってるダスクです」
低く掠れ気味の声、じとっとしたタレ目が黒の前髪越しにチラチラと見える。
猫背なのに俺よりも背が高い高身長で年齢は二十半ばだろう。
少し心配したが杞憂だったようだ。
目の前の丸太が一瞬で何当分にも切り刻まれる。
双剣といえばやはりこの圧倒的な手数による攻撃力なんだが、しかしそれは俺のやりたいスタイルとは異なる。
そこでダスクさんにこの武器を使ってどういうスタイルにしたいかを話してアドバイスをもらっているうちにあっという間に三時間が過ぎた。
ウルヌさんの店でエンチャントをかけてもらい、あとは実践あるのみということでエバーグリーンフォレストの草原エリアにいる一角ウサギと戦うことにした。
左手を前に体を半身に構える。
突進を逆手で持った左の小太刀で防ぎ、右の小太刀で一角ウサギを斬りつけて倒す。
これこそが俺の新しい戦闘スタイルの小太刀二刀流だ。
その特徴として左右の小太刀で長さが異なり、右の方が長く作ってある。
前のスタイルよりも攻撃的で双剣よりも防御に優れている。
左の小太刀は主に守りを担うため土のエンチャント、右の小太刀には火のエンチャントをつけている。
草原エリアと大森林エリアの境付近で珍しいモンスターを発見した。
捻れた木が絡みつくように細身の人型になっているモンスターのツリーマンだ。
特に強いモンスターではないし、練習相手にはちょうどいい。
ツリーマンで気をつけるところといえばその耐久力くらい。
といっても硬いとかではなく、首を切っても死なないということだ。
不死というわけではなく、体のどこかにある種子を破壊しなければいけない。
これは個体ごとによって異なるが、種子から切り離された部位は動かなくなるのでバラバラにすればいずれは辿り着く。
まぁ、魔法を使えばもっとお手軽に倒せるが、俺は使えないからしょうがない。
まずは両腕を落とす。
ハズレだったか。
なら次は両足を落とす。
これもハズレ。
とすると残すは頭だ。
頭を落とすと胴体である木が動いている。
胴体を真っ二つにすると種子が見えた。
これを壊して討伐完了。
「うーん残念、そううまくはいかないよな、魔石しか落とさなかったか」
ツリーマンは出現自体がレアでそんなモンスターの落とすスキルオーブはさらに希少価値が高く、しかもそこそこ使えるので非常に高値で取引されている。
場所こそ選ぶが、ハマればその探知能力は他の探知系スキルを遥かに凌駕する。
まぁ、魔石もレアだからよしとしよう。
ツリーマンの魔石は樹木属性、これは土と水の複合属性だ。
上位のダンジョンに行けば増えてもくるだろうが、このレベルのダンジョンではなかなかいない。
畑に撒けば土と水の属性の代わりになるが、さすがにそれはもったいないか。
いつ必要になるか分からないし保管しておこう。
ツリーマンの魔石をポータルに入れる。
大森林を見つめフォレストウルフとの戦闘を思い出した。
まだもう少し先だな。
今のスタイルに慣れたら挑もう。
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