2話 初ダンジョン
最も初心者におすすめなのが片手剣と片手盾の組み合わせだ。
剣を振るうのなら誰でも想像がつくし、バランスもいいので扱うのも難しくない。
初心者は焦って敵の攻撃を受けやすいのでそこを片手盾でカバーする。
特殊な武器や魔法を選択すると技量が必要で敷居が高くなってしまう。
地味なせいで人気がないのだが、俺はアドバイス通りに鉄剣と木の丸盾を購入することにした。
次は防具を選んでいく。
防具は頭、胴、腕、脚の四つで統一するのが基本だ。
鉄の鎧シリーズは今の俺がペナルティなしで装備できるマックスなんだが、重いし動きづらいしでペナルティがあるのと変わりなく思える。
ということで革の鎧シリーズにすることにした。
鉄の鎧に比べると防御性は落ちるものの、動きやすい。
続いて装飾品だが、装備できるのは一つだけというのがこの世界のルールだ。
指輪をすべての指に嵌めても効果は発揮しない。
移動速度を上げてくれる指輪や攻撃力上昇の指輪、魔力回復速度を上げてくれるブレスレットなど多種多様あり、色々と吟味していく中で目に止まるものがあった。
それはショーケースに厳重に保管されていてこの店で最も高価、それこそ二位との差が数倍もあるほどに。
店側も売れるなどと思っておらず展示感覚で置いているだけ。
しかし即断即決、店員に購入すると伝えると店員は一瞬顰め面を見せて奥へと行ってしまった。
少ししてから責任者を名乗る店員が現れ事情を説明してくれる。
あまりにも特殊なもののため購入するにはいくつかの資格が必要だということだ。
「えっ……!? 確認したところ……購入資格ありのようです……」
一応、確認のため、魔力認証をしてもらったらそういうことらしい。
やはりこれは転生者特典ということなのか?
まぁ、買えるというなら買うさ。
ポータルリング、装備すると収納空間を持つことができ、多数のアイテムを収納、取り出しすることができる。
一騒動あったが、俺の買い物はまだ終わっていない。
次はスキルを選択していく。
スキルはスキルオーブを使うことで覚えることができ、いくつのスキルを覚えられるかは個々人の実力に左右される。
大体初心者なら二つから三つが一般的のようだ。
そして獲得できるスキルの数でランクが決まる。
俺は現在、三つのスキルを覚えることができるのでランク3となる。
スキルは覚え直しもできるため、使ってみて合わなければまた別のスキルを選べばいい。
ただし、上書きされたスキルは消えてしまうためそこは注意が必要だ。
一つ目は発動すると強力な一撃を放つスキルのスラッシュにする。
クールタイムも短いし、小回りも効くのでまず腐らない。
二つ目はソロに有用な探知系のスキルのデンジャーアラートだ。
危険が迫ると脳内でアラートがなってくれる。
仲間がいない分、罠やモンスターの奇襲のような不慮の事故はなるべく避けなければいけない。
熟練度を上げれば敵にいち早く気づき戦闘を回避することだってできるようになる。
三つ目は回復系スキルのキュアにする。
傷を癒すレッドポーションは当然買う予定だが、ポーションを飲む場合、隙を晒してしまうため戦闘中の使用は難しい。
特にソロでは攻撃が自分に集中してくる。
それにキュアの方が即効性が高い。
アイテムはレッドポーション、解毒効果のあるグリーンポーションを購入、装備とスキルオーブを合わせるとかなりの出費、ほとんどがポータルリングだが、となった。
ポータルリング抜きにしても初心者でここまで揃えるなんて貴族でも珍しいと言われてしまった。
まぁ、俺の身分は苗字持ちで貴族となっているんだが戸籍管理とか、土地所有云々はどうなってるんだろうか気になる。
あまり、大っぴらにして国に調べられても面倒なためできるだけ隠すことにしようと思う。
いきなり騒動があったわけだが、できるだけ、できるだけね。
守秘義務があるし店から情報が漏れることは極めて少ないだろう。
冒険者ギルドに関しても俺がよほどの犯罪で犯さない限りは国からの要請でも冒険者を守ってくれる。
これは冒険者ギルドが大陸中にあり、国の組織ではなく独立組織として活動しているからだ。
早く買ったものを試したいと気持ちが逸るが、もう時間も遅いし翌日ダンジョンに潜ることにした。
潜るダンジョンはゴブリンネスト。
初心者ですらあまりに簡単すぎて避けるという超初心者ダンジョン。
そのおかげもあってか人がいないのがありがたい。
モンスターに気をつけるのはもちろんのこと、冒険者同士のいざこざも少なくないため、そっち方面にも気を配らなければいけない。
ゴブリンネストは全五階層の洞窟型ダンジョン。
宙に浮かぶ青白い楕円のモヤ、ゲートに足を踏み入れるとそこには別世界が広がっている。
洞窟といっても光苔という植物のおかげで視界は確保できている。
道幅は5メートルほど、天井も高く、そこまでの閉塞感は感じない。
進んでいくと小部屋に出て、真ん中にレッサーゴブリンが立ち尽くしている。
身長は100センチほどで小柄、顔は邪悪そのものだがまるで威圧感を感じない。
レッサーゴブリンの実力はそこらの子どもにも劣ると言われる。
普通ならまず負けることはない。
それでも俺にとっては記念すべき初の戦闘となる。
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