第39話 雪像フェア

 朝9時ちょうど。運送屋がでっかいレールを置いていった。


 部分的に段ボールが当てられているだけの剥き出し状態。なんでこんな業務用の品がアマ○ンで売っているのか謎だ。倉庫代わりに使ってるのかな?


 とにかくクソでかいそれを、そこらにぶつけないように慎重に運び込んだ。

 意外と軽くてそこは問題無かったんだが、トイレの扉に入れるには大変苦労した。具体的には壁をぶち抜いて無理やり入れた。

 どうせ入り口がここにしか無いんだから、この部屋から退去するなんて無理なんだ。壁の一つや二つ、軽いもんさ。


 しかし5セット買ったのは確実に失敗だな。どうせクレカの支払いはしないし~等というクソな考えで予備を買ったんだが、置いておく場所がない。草原に置いたら回収されるし。


 とりあえず一つを川に渡しておいた。明日には立派な橋に成長していることだろう。たぶん。


 残りは1マスにまとめておいた。ひょっとしたら多量の金属を吸収して何かになるかもしれない。そんな淡い期待を込めた。


 これはこれでヨシ!ということで雪人形狩りに勤しむことにした。


「オーロラ○クスキューション!!」


 などと叫びながらつめたい息を吐く。こいつはスキルなので、喋りながらでも勝手に吐けるのだ。

 ブレス連打は疲労度の点から効率が悪い。だがこれなら砂地の転がる草、タンブルウィード君にも有効だろう。疲れるけど。


 全面を凍らせてから氷漬けの雪人形を探し、指先からどくばりをビシュッと打ち込んで破壊して回る。

 思えば俺も強くなったもんだ。どちらもちょっと間抜けな感じではあるが、立派な魔法だぜ。

 でもそろそろカッコいい魔法お願いします。右手を突き出したポーズで魔法発射したいです。


 お昼までの短い時間。ハイペースで頑張っていたら、ついにスキルオーブがドロップした。

 さてどんなスキルだろうか。雪原は雪人形しか出ないしょぼいエリアなので、自然治癒や天候操作ほどのスキルは期待してないが……魔法来い!


「細工?……細工か」


 得たのは細工スキル。これで俺の器用さが底上げだぜ!というものではなく、これも魔法的なスキルだ。

 創作意欲が湧いてきたぞ。早速そこらの雪で細工を始める。


「こねこねこ……こねこねこねこ……こねこねり」


 デデーン!出来上がったのはイッヌ。犬種は分からん。精巧でありながらもデフォルメされた魔の造形だぜ。


『ワンワン!』


「こいつ……動くぞ!」


 っていうか喋ってるぞ。声を出しているという事は何かが収縮して空気を吸い込み、またそれを声帯で……まぁなんでもいいや。


「ははは!ホラ来い!遊ぼうぜ!今日はもう終わりだ!」


『ワンワン!ワウーン!』


「ヨシヨシ!お前の名前はイ゙ヌ゙ゥ゙ヴヴだ!」


 俺とイ゙ヌ゙ゥ゙ヴヴは走り出した!あっちの砂浜で青春走りしようぜ!


 ブシャー!


 襲い来る水大砲!雪犬は溶けて消えた!


「イ゙ヌ゙ゥ゙ヴヴ!イ゙ヌ゙ゥ゙ヴヴ!!」


 俺は激怒した!だけどもう昼なので、面倒なヒトデの相手はやめて一旦帰ることにした。


          ◇◆◇◆◇


 さて。今日はお出かけしよう。

 細工スキルを活かす為にホームセンターへ行きたいんだ。創作意欲がモリモリ湧いてくるぞ。


 試しに4chでお絵かき投稿をしてみたら、40秒で精密な絵を描けてしまった。

 まず丸を描いて、それからしゃしゃっとしたら……ね、簡単でしょ?

 クソドエロイ絵を投稿してやった。崇めよ。


 今日は変身などもせず、ふらっと出かけた。

 腹が減ったが、店で食うと馬鹿みたいに金かかる。食い物はスーパーで不足してる食材を買って家で作ろう。


 しっかり稼いでるから、金がかかっても問題無いと言えば無い。だけど、一つ気になってるんだ。


 あの通貨、本当に使っていいのか?

 法律的な意味じゃない。そうじゃなくて、あのファンタジーな通貨を現実に混ぜることは、そのまま現実にファンタジーを混ぜているんじゃないかと気づいたんだ。

 俺自身、何を言っているんだという気持ちもある。だが、それに思い至ってからなんとなく使い難いんだよなぁ。


 町中でスライムを見つけて以来、ファンタジーが現実を侵食している気がして仕方ない。

 もしかして俺が、俺自身が2つの世界を混ぜ合わせているのかもしれない。そう考えちゃうとなぁ。


 まぁ考えたって分からんし、俺にはアレしか稼ぎが無いんだ。

 なるべく倹約すればいいやと考えながら、ホームセンターに入った。









――――――――――

現在リメイク作と合わせて2作同時に投稿してます。

両方ともPVが0に近づいていて、そろそろ真面目にPVの回る作品を書きたくなりました。

こちらの作品は、後数話で一旦止まると思います。

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