第34話 WHITE BREATH

「はい森田ですが。はい、はい、あ~なるほど。ん~それなら14時から16時の間がいいですね。もし電話繋がらなかったら部屋のドア叩いてください。はい、それじゃおねがいします」


 朝から電話がかかってきた。配送業者からだ。

 猫砂の配送についての連絡で、玄関まで運ぶのは無理らしい。アパート前での受取となった。

 まぁ仕方ない。荷物が来る時間には家で待っておこう。今の俺なら一度に5袋担いで12往復くらい楽勝だ。


 電話を切って時間を見ると9時過ぎ。もうすっかり無職生活が染み付いた起床時間だ。

 朝は早く起きたほうが色々とお得。わかっちゃいるが起きられない。


 草原に入ってまっすぐ寒冷地帯へ。昨日の続きで白スライムを乱獲だ。

 昨日、1マス開けて寒冷地を広げたのは正解だったようで、間の部分にも白スライムが湧くようになっていた。3*7マスのエリアが寒冷地帯となっている。スライムも沢山だ。


 効率よく狩りを進めて、1時間もしない内にスキルオーブが出現した。

 これには期待してるんだよ。だって冷気属性だぜ?ブリザドとかヒ◯ドみたいなのを期待しちゃうじゃん?


「つめたい息……だと?」


 なんで息限定なんですかね。手に触れた物の熱を奪うとか、冷気をまとった剣とか、氷のシールドとかあるやん?


「ブハァーー!」


 スキルを発動すると口の中に何かが溜まる感覚が起こり、たまらず吐き出した。

 結構な量だ。普通に息を吐くのとは違うようでそこはよかった。

 キラキラと輝く冷たい息は地面に氷を作り上げた。冷気だけじゃなく水分入りなのか。

 まだ余力がある。全力で行けば空気すら凍らせられそうだぞ。


 もっと魔法っぽいのがよかったが、これはこれでアリだろう。

 それに、冷気属性のエリアはここだけじゃないんだ。開発を進めたら他のカッコいいスキルもきっとあるさ。


 まだ時間は早いが、寒冷地帯を広げて帰ろう。

 スキルを使ったら疲れるし、部屋で運送屋を待つのにちょうどいい。

 現在は3*7の21マス、隣接エリアも挟み込めば寒冷地帯に出来るので、現在の寒冷地と平行に二箇所でスキルを発動した。

 これで7マス*7マスの49マス、25m*25mで1,225平方メートルが寒冷地帯になる予定だ。


 二回連続で使うとかなり疲れてしまった。

 範囲を絞らずに熱波から雨に切り替えた時ほどじゃないが、動き回るのは辛い。

 ひとまず終了して帰還。


          ◇◆◇◆◇


 時刻は11時。配送予定は14時から16時である。

 中途半端に時間が空いたな。出かけるには体がだるいし、食料は無い。

 仕方ない。戻ったばかりだが中に入って何か取ってこよう。


 そういえば海の魚が気になってたんだ。

 最初の時はオコゼとかしか取れなかったので諦めたが、今は少しだけレベルが上っている。刺身で食えそうな魚が穫れるかもしれない。


 毒を手に海へ。いつものように毒を垂らしてやる。

 少し待つと魚モンスターたちがプカリプカリと浮いてきた。それを素早く陸に上げる。


 ポンポンポポポンッ!


 軽快な音を立てて魚モンスターが魚介類に変化した。


「ふむふむ、なるほどこうなったか」


 イカがいる。種類は分からん。そして他の魚達は魚ということしか分からん。

 生で食べて平気なんだろうか?不思議モンスターだし寄生虫や変な細菌はいないと思いたいが如何に。イカだけに。


「つめたい息!」


 ブハァっと濃いのを吐き出して、一旦凍らせてやった。俺のダジャレが寒かったからじゃない、こうすると寄生虫が死ぬと聞いたことがある。

 超高速冷凍だし、流石に生き残る生物はおらんやろ!と思い込み、焼いて食うことにする。


 凍らせたイカを水で溶かし、他の魚達は凍ったままぶつ切りにして冷凍庫へ。

 解体は簡単だ、スキル先生に任せておけば手順だけじゃなく切る場所も包丁の扱いも全部上手くやれる。凍った魚もスパスパ切れたぞ。


 イカを解体して、食べられない部分は草原にリリース。今、俺の目の前には捌かれたイカがある。

 スキルの活躍はここまで。この後こいつをどうすればいいんだ?


 とりあえず、いつもラーメンを作っている鍋に放り込んで焼いてみた。

 鍋にめちゃくちゃ張り付きやがる。無理やり剥がしてぐちゃぐちゃになっていくイカをなんとか炒めて、塩をかけて食った。

 あんまり美味しくなかった。



 折角上等の炭が大量に取れるんだから、さっさと七輪を買ってこよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る