6-1 缶コーヒーと笑顔

俺達は公園にやってきた。

今日は雲一つない快晴。

公園の真ん中には大きめの噴水があり、近くには木々のトンネルから木漏れ日が差し込む。

風が吹く度にカサカサと揺れる葉の音が耳に心地よい。


優香が話しかけてくる。

「ねぇ、そこの自動販売機で飲み物買おう。」

公園の外れ、外灯の横に白い自動販売機がぽつんと設置してある。

「何飲む?」と優香に言われたので、「うーん、これにしようかな…」と、微糖の缶コーヒーにした。


優香が「私も同じのにする!」とお釣りが戻る前にボタンを押す。

ガチャンと同じコーヒーが取り出し口に2本、偶然仲良く並んでいる。

俺達のように思えて少し「フフっ」となった。

「何笑ってるの?」と優香が訊いてきたので

「なんでもないよ?」と言うと「気になるじゃ〜ん」と肩を軽く叩く。

こんなふうに心の底から笑い合えるのは優香と健太さんのお陰だ。

近くのベンチに座り優香にコーヒーを渡す。

「ありがとうと」コーヒーを受け取る優香。

風が気持ち良くて伸びをして空気を思いきり吸い込む。

久しぶりに生きている事を実感した。

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