2-3 湯船とコーヒー牛乳

悪い思い出を断ち切るかのように全身を洗い終えた俺は、湯船に浸かった。

冷え切った身体と心が熱めのお湯で少しずつ溶かされていく。

俺は優香が何故優しくしてくれるのかを考えていた。

何故俺なのか…他にも困っている人は沢山居るだろうに、何故俺に声を掛けたのか。

いくら考えても答えは出ない。

どれくらい時間が経っただろうか?

…そろそろ出るか。俺は脱衣室へ向かう。

脱衣室で着替えを終わらせたあと、今は貴重な瓶入り飲料の冷蔵庫を眺めた。

数種類の飲み物が並ぶ中、俺はコーヒー牛乳を選ぶ。

番台にお金を払おうと向かった時、番台の人が『優香ちゃんがコレをアンタに』と言われ小さな袋を渡してきた。

中身を見るとトランクスが入っていて、中に小さなメモ紙が入っていた。

『私下着渡すの忘れちゃった!デザインが嫌でなければ使ってね!』と書いてあった。

彼女が選んだのは可愛いキャラ物のトランクスだった。

「ぷっ…」思わず笑みがこぼれる。

俺はそのトランクスをありがたく使わせてもらう事にした。

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