1-6 こぼれたコーヒーの裏切り

1週間程してからポストに封筒が入っていた。

封筒の角に有名なAVのブランド名がプリントされている。

名前を見ると『日田茜』様と書いてあった。

茜は友達と出かけてくると言って朝から居ない。

俺は一抹の不安を抱えながら、震える手をどうにか落ち着かせて封筒を開ける…

中にはDVDが1枚入っていた。

何もプリントされていないキラキラしたDVDを再生すると、そこに映ったのは俺の知らない『茜』が居た。

彼氏に満足出来ない女の子が、今回鮮烈デビュー!とデカデカとテロップが写る。

俺はテイクアウトしていたコーヒーを飲むのも忘れ、流れる映像を唖然と観ていた。

1時間という普段なら短い時間が1年に感じた。な、何だよコレ…………俺は半狂乱になりながら家を飛び出した。

その時にテーブルに足を引っ掛けてこぼしたコーヒーが、茜との絆が砕けた音のように、ポタポタとテーブルを伝っていた。1週間後の雨を予測するかのように

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