第23話 簡易魔弾
一人ギルドに残った僕は早速届いた魔導銃を改造にかかる。
魔力伝達率の良い金属で出来ているそれを細かく分解していき、必要な箇所に魔法の構成術式を刻み込んでいく。
「やべっ、ミスった……〝時間粒子・遡行〟」
細かい作業のため、手元が狂うこともあり得る。やり直しになれば、また一から銃をオーダーメイドで注文しなければならないが、僕には時間粒子がある。
いくらでもリトライができるのならば、こういった魔法に関する作業は自分でやった方が予算が浮くのである。
魔法同士が干渉し合って不具合を起こさないように構成術式を刻み終える。
これでやっと完成だ。早速、地下に行って試運転と洒落込もう。
「〝
詠唱と共に、銃身に刻まれた魔法が発動し、弾丸が生成される。
それから引き金を引くと銃弾が射出され、弾丸が的を貫いた。
「よし、成功だ」
弾丸は銃身と同じ魔力伝達率の高い金属を使いたかった。
そのため、銃の内部には複製魔法を仕込んである。
この魔法は金属のみを複製し、形を弾丸にして装填することができるのだ。
複雑な術式だったが、未来でボツを出された〝
それに加えてこの銃にはもう一つの魔法が刻まれている。
〝
未来では生活魔法の一種である印刷魔法だ。
ボツになった魔法と生活魔法の組み合わせ。
これを武器に戦うこともまた、一種のリベンジといえるだろう。
「でもなぁ……威力が足りないんだよなぁ」
魔力の限り撃てる銃弾と聞けば強いかもしれないが、魔法使い同士の戦いでこの威力は少々心もとない。
魔力さえあれば何度でも撃てる銃だが、火力が伴わなければ意味はない。
「待てよ。弾丸を魔導書にできれば……!」
思考が堂々巡りになりかけたとき、ふと以前の記憶がよみがえる。
書庫で見た、老朽化した魔導書が暴走し、大爆発を起こした光景。
あの現象の理屈を応用できないか。
弾丸そのものを、簡略化した魔導書として扱う。
その発想に至り、すぐさま銃身の術式を書き換えた。
生成される弾丸の表面に、あらかじめ簡素な魔法陣を刻むよう設計を変更。
さらに、撃ち出された弾丸に〝時間粒子・加速〟を付与する。
魔導書としての寿命を一気に縮め、魔力の不安定化による暴発を誘発する構造だ。
暴発時、周囲の魔力を巻き込む特性を持たせることで、自身の魔力消費を抑えつつ高火力を確保することができる。
「〝
発射された弾丸は的に命中し、直後に激しい爆発を引き起こした。
魔法耐性の標的は、一瞬で跡形もなく吹き飛ぶ。
「これなら、火力不足を補える」
立ち上る煙と熱気に包まれた訓練場の中央で、僕は静かに銃を降ろした。
「……まだ調整は必要だな」
汗を拭いながら、再び銃を構える。
もっと高精度に、もっと確実に。
頂点に立つあの人と渡り合うには、磨き上げるしかない。
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