15年間、顔も知らなかった許嫁が俺の隣の席にいる。〜初対面の時から好感度100の許嫁と同棲するのも悪くない。〜
天空セツナ
本編
第0章 貴女と出会えた。そして己の価値を知った
第1話 【その日、俺は彼女に出会った。 ①】
春は出会いと別れの季節とよく言うが、出会いもなければ別れもない俺にとっては特にいつもと変わらない日々の繰り返しだ。
そんなことを言っている俺も今年から高校生。本格的に将来のことについて色々と考え始める年頃だ。
そして俺、
──
なんというか、あまりにも珍しい名前だ。名前の「黎」はまだ分かるだけれども、名字の「皇城」に関しては、俺が中学時代にハマっていた音ゲーのキャラでしか見たことがない。
お父さんはお父さんで『高校生になったら会わせてやるし、同棲もさせてやる!』とかほざいている。小説の読みすぎとしか思えないし、どうやって無から有を錬成するのかは知らないが、まだ一応存在しているのかしていないのかは不明である。つまり
『シュレディンガーの皇城』ということだ。(俺 命名)
ちなみに俺の予想は『いない』だ。
朝風呂に入り、朝食を食べ、歯を磨き、俺には似合わない小洒落た制服を着込み、誰もいない家を後にする。これが俺の新たなモーニングルーティンだ。
お父さんもお母さんも出勤がとても早く、そして帰りは遅い。今となってはもう慣れたことだ。なんとも思わない。
俺はいつも通り郵便物を確認し、学校に行こうとしていた。
いつもは何も入っていない郵便受けに入っていた一通の手紙。
そこにはお父さんの筆跡で
『例の許嫁さんと今日から裏面の住所のところで同棲してもらうからよろしく〜あ、もちろん家賃とかはちゃんと払うから安心してね〜 君のお父さんより』
(は?もし居たとして初対面で同棲ですか?意味がわからん)
俺はカレンダーを見つめ、ハッとする。
(なんだよエイプリルフールか)
こんな馬鹿馬鹿しい文章を見て動揺していた自分が恥ずかしい。今日は4月1日。つまりこの手紙もただの四月馬鹿ということだ。
俺は気を取り直して、誰もいない家を後にし、学校へと向かった。これから高校生活が始まるのだが、俺の心配事はただ一つ。しっかりと学校の授業についていけるのか。それだけだ。中学校では定期テストで学年1位を取れていたが、高校のテストは一筋縄ではいかないとよく聞く。だからまず授業についていけるか、そこが不安なのだ。
突然ではあるが、1人で歩く通学路はなんともいえない良さがあると思う。暖かな日差しと冷たい風が非常に心地よい。別に厨二病とかそういうわけではなく、昔からゲームとかそういうものに興味がない俺はいつも外に出ては山で風を感じたり、日光を浴びたりしていた。
今思えば、ただの変質者だ。
とはいえ今日は今から学校に行かなければいけないため、そんな風を感じている暇などない。俺は足早に学校へ向かった。
クラスに到着し、自分の席に座り周囲を見渡す。初登校日というのもあってみんな緊張しているのか会話がほぼ0。クラス全体が少しピリついている。
朝礼開始時間になり、担任の先生らしき人物が教室に入ってきて自己紹介を始めた。
「初めまして!これから1年間皆さんと関わっていく、担任の
元気な女性の先生だ。まあ、とても優しそうな先生で良かった。廊下側の最後列の席で俺は頬杖をつきながら話を聞いていた。
始業式の前に1人ずつ自己紹介をしていくことになり、各々が自分の好きな物や好きな教科を言っていく。かなり早い段階で俺にも順番が回ってきた。
「九条直己です。好きな物は本(英単語帳)です。好きな教科が歴史で、嫌いな教科は生物です。1年間よろしくお願いします」
本当に普通のありふれた自己紹介だ。小学生でもできるだろう。そんな雑な自己紹介をした俺は自分の自己紹介が終わったら寝ようと思っていた。だけれど、それを阻止するように隣に座る女子が自己紹介を始めた。
「皇城黎です。東京から引っ越してきました。好きな教科が歴史で、嫌いな教科は数学です。仲良くしてください」
──あ、存在してるんだ、皇城って。架空の名字だと思ってた
まさかの俺の隣にいたのは皇城という存在しないと思っていた名字の人間。びっくりしたね。いると思わなかったから。
そして俺はこの瞬間に運命の会合を果たしていたことに後から気づくことになる。
丁寧に整えられた長い黒髪。女子の中ではかなり高いであろう身長。とても凛とした美しい顔立ち。まるで女優のような気品。俺は確信した。おそらくこいつがこのクラスのマドンナになるだろうと。
クラスの40人全員の自己紹介が終わり、入学式が始まるまでの間、自由時間となった。
俺はもちろんクラスの端っこでまるで小説を読むかのように英単語帳を読んでいた。俺にとって英単語帳は彼女のような存在で、様々なところで俺のことを救ってくれた。テストの時も、入試の時も。
まあ、予想はしていたが、クラスメイトの半分近くが皇城の席に集まっているせいで全くもって集中することができない。
(いや、もう本当に勘弁してくれないか…)
別に皇城の席に集まるのは勝手にしてもらえばいいのだが、騒ぐのはやめてほしい。やれ連絡先だの、親睦会だの、もう騒がしすぎて収まりがつかない。
俺は英単語帳を読むことを諦め、机に顔を伏せた。すると、皇城を取り囲む輪の中から1人がこちらに向かってきて話しかけてきた。
「えっと、九条くん……だよね?」
「そうだけど?どうした?」
「よかった。ぜひよかったらでいいんだけど、君も親睦会に来てくれないかい?」
「ああ、別にいいけれど、どこでやるつもりだ?」
「駅前にあるサイゼの予定なんだけど、行けそう?」
「ああ、ぜひ行かせてもらうよ」
「わかった!後、俺、
「ああ、よろしく…」
こんな俺でも案外誘われるもんなんだな。親睦会って。どうしたんだろうか?もしかして数が足りなかったから数合わせか?じゃないとこんな教室の隅で本を読んでるやつなんて誘わないもんな。
まあ、せっかく誘われたのだから行ってみるのも悪くないだろう。
「みんなー、そろそろ入学式の会場に移動するから廊下に並んでー」
先生の号令で生徒たちがゾロゾロと動き出す。隣の席の皇城は少しぐったりとしていた。
「大丈夫か?」
「ん?連絡先ですか?はいこれです」
「いや、違う違う。廊下並ぶぞ」
「少し待ってください…私もう疲れました…」
「そうか、じゃあ鍵閉めとくな」
「少しくらい待ってくださいよ」
「じゃあ早く廊下に出ろ、もう行ってるぞ」
「え、あ、え、本当?」
「本当」
「……」
「先行っとくぞ」
皇城と初めての会話をしていたらナチュラルに列に並びそびれた。まあ、あんだけの人数に質問攻めにされていたのだから疲れるのも無理はない。俺たちは急いで入学式の会場へ向かい、列にしれっと並んだ。
入学式の感想としては、とにかく眠ってしまいそうなくらい校長先生の話が長かった。
話が長いというのは校長先生の特徴として全国的に有名であるが、実際に話の長い校長先生というものに出会ったのは小中高と来て初めてだ。
ただただ校長先生の話が長かったことしか記憶に残らなかった入学式を終え、俺たちは再び教室へ戻った。
そして始まるのは当然、皇城への質問攻めラウンド2である。
「彼氏とかいる?」だとか「前の学校はどうだった?」だとか「何か特技ある?見せてよ!」などなど…本当に聞く必要あるのか!?と思うような質問もいくつか聞こえてきた。
そんな質問攻めの時間も、先生が教室に帰ってきたことによって終わり、終礼が始まった。終礼と言っても特別何かをするわけでもなく、明日の持ち物と予定を連絡して終わりとなった。
高校への初登校は11時過ぎくらいに終わったわけだが、帰ったら親睦会の準備や、いまだに『シュレディンガーの皇城』状態の許嫁のことも確認など意外とすることが溜まっている。まあ、一旦帰宅をしないと何も始まらないため、俺は帰路に着いた。
そして自宅が見えてきたくらいで、自宅の前で1人の女子高生が、立っているのが見えた。
──後書──
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元々、読み専だったんですけれど、どうしても小説が書きたかったので書いてみることにしました!正直な話、伸びるとは思っていません。ですけれどぜひ面白いと思っていただけたのなら作品のフォローと、
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