延長戦
「あら、奇遇ね。また会うなんて…」
「……絶対わざとだろ」
彩春は、こちらに気付くさも偶然を装って近づいてきた。
……こいつの家、俺の家と真反対にあるんだけど。
「涼風君は学校帰りにスーパー寄るから、そろそろ帰ってくるかと
思って待っていただけなのに…悲しいわ」
「確信犯じゃねーか!」
「まあまあ、日向兄さん落ち着いて。私ももうちょと
恋水さんと話したかったし丁度いいじゃん」
「本当? 名月さんにそう言ってもらえて嬉しいわ」
「はぁ…わかった。立ち話もアレだし家に入るぞ」
「「はーい」」
鍵を開けて家に入る。
エアコンを消して学校に向かった為、屋内は蒸し暑かった。
「ただいま〜。…あっついな」
「ね〜」
「お邪魔します」
「俺、飲み物持ってくるから2人はリビングで待ってて」
「わかったわ」
「りょーかい!」
2人がリビングへ向かうのを見て、キッチンへ入る。
冷蔵庫から麦茶を取り出してコップに注ぐ。
リビングから声が聞こえてくるが、
ここからでは会話の内容まではわからない。
音を立てずに近づいて聞き耳を立てる。
「名月さんはこっちにきてから何か困った事はない?」
「今の所はないですね〜」
「そう? ならよかった」
「クラスメイトも積極的に話しかけてきてくれて優しかったですね」
「男子とかどうだった? 変な事されてない?」
「何もされてませんね…」
どうやら初日の感想を聞いているようだった。
別れた時のあんなに危ない雰囲気だったのが嘘みたいだ。
そろそろ戻ってもよさそうだ。
「戻ったぞ〜…ってなんの話ししてたの?」
楓が盗み聞きを好んでいないので、今戻ってきた体で入る。
席順は入り口から見て奥に彩春、手前に楓が座っていた。
「おかえり〜新生活について話してたよ」
「なるほどね〜…あ、はい麦茶。 氷ないやつは彩春のだから」
麦茶を配り終わったら、楓の隣に座った。
目の前には見慣れた彩春の顔。
ここ最近は見ていなかったから少し懐かしさを感じる。
「気が利くわね」
「……何年も一緒だからな」
「そう言えば2人っていつから友達なの!?」
「「ーーッ!!」」
向かい合って座っていた。俺と彩春は思わずお互いに視線を向ける。
目が合ったら同時に視線を逸らした。
「仲いいね〜」
「まあ……な」
「……そう、ね。それで言うと名月さんと
涼風君も随分仲がいいみたいね?」
「まあ、小さい頃一緒だったしね」
「そうだな」
「ふーん…小さい頃から、ね」
「それよりも日向兄さんと恋水さんがどうして仲良くなったのか知りたいです!
今日噂で聞いたんですけど恋水さんって学校のアイドルと言われるくらい
人気高いようなのでなんで…どうしてうちの兄と仲良くしてるんですか?」
「おい、身内に向かって酷くないか?」
「そうね…話すと長いから簡単に纏めると中学の頃私が困ってて
涼風君に助けてもらった事がきっかけね」
「そうなんですね〜。それで、付き合ったりしてるんですか?」
「「……………」」
最近別れたなんて絶対に言えない…気まず過ぎる。
そう思って彩春の方を向いてアイコンタクトを取ろうとする。
彼女も同じような事を考えていたみたいで目が合う。
『どうするの? 別れたなんて気まずくて言えないわ』
『同じく』
『じゃあ日向の方から説明よろしく』
『りょーかい』
「付き合ってはないな。ただ、一緒にいて楽しい相手だ」
「そうね…今の関係が良くて付き合うとか考えた事なかったわ」
「そうなんだ〜2人は付き合ってない、と」
「そういう事だ」
「えぇ、そうね」
「えーそうなんだ〜…へー」
なぜか上機嫌で鼻歌交じりにそんな事を言う楓。
納得してくれてよかった…
「あっ、お昼食べてないじゃん! 作ってお兄ちゃん♪」
満面の笑みで急にお兄ちゃん呼びをした楓。
それを見て彩春が静かにキレていた。
……予感が的中してしまったようだ。
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お読みいただきありがとうございます!
楓にお兄ちゃん呼びさせたいなぁと思ってたら言ってくれました!!
夢が叶いました笑
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