13話 期待の転入生

 東京カード学園中等部 2年A組――。


 教壇に立つ担任の先生が、席に座る生徒たちにつげる。


「今日は、みんなに新しい転入生を紹介するわね。入って来て」

 

 扉を開けて入ってきた転入生の姿に、クラス中が驚く。


「あ、あれって……竹月 かぐやちゃんじゃない?」


「あの、スーパーモデルの……?」


「な、なんで、彼女が東京カードアイドル学園に……?」


 困惑して教室内がざわついた。


「さ、さすが、かぐやちゃん……」


 その光景を、もう1人の転入生『月宮 うさぎ』は、扉の隙間からのぞいていた。


( みんなが、かぐやちゃんに注目している……。そんな中に普通の自分が……? )

「な、なんか……とっても入りにくい……」


 ――わたしが狼狽するなか、担任の先生は 生徒たちに話し始める。


「かぐやは大会とかには出ていないが、校長が直々にオファーして、『特別推薦枠』でこの学園に入学したのだ。当然、ただ有名人だからというわけではなく、彼女のカードアイドルとして素質を見込んでのことだ」


「竹月 かぐやです。よろしくお願いします」


 みんなに向けてかぐやちゃんは頭を下げた。


「じゃあ、かぐや。おまえはあの席に座ってくれ」


「はい」


 一番後ろの、窓際の隣の席に座った。


 いよいよ、わたしの自己紹介の番だ!

 いつ呼ばれてもいいように、気合を入れて扉を開ける準備をした。


「では、授業を始めるか――」


( ええええええっ! わたしの存在を忘れてるぅ! )


「先生!」


 ガーンとショックを受けていると、かぐやちゃんが席から立ち上がった。


「なんだ、かぐや?」


「あたしの親友の自己紹介が、まだ終わっていません」


「ああ、そうだったそうだった。最初のインパクトが大きすぎて忘れていたよ、ハッハッハ」


 悪びれることもなく笑う担任の先生を、かぐやちゃんは睨みつける。


「忘れないでください。彼女はいずれ、この学園で『一番のカードアイドル』になる人なんですから」


 えええええええッ! 今日 一番 ビックリしてしまう。


「えっ? あ、ああ……そうなのか……。すまない……」


 しゅんとしてしまった先生が扉に視線を向ける。


「じゃあ、入って来てくれ」


 みんなの注目が、かぐやちゃんから扉から入ってくるわたしに移った。


( ううっ。よ、よけい入りづらくなった…… )


 期待感に押しつぶされ、その場から動けなくなってしまう。

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