第28話 敵は本能寺にあり
敵は本能寺にあり。
なにかしらよく言われる言葉だが...今の状況に当てはまるかもしれない。
俺は考えながらリビングにやって来た。
リビングでは雪乃が洗濯物を畳んでいたので手伝いながら話をする。
「英二さんは...その。奴らを許したりしますか」
「許したりはしない。だがなんらか分かり合えるチャンスがあればとは思うけど」
「英二さん。もう無理だと思います。彼女達はマジに汚染されている」
「だがこの世界線で生きている限りは話をしないと意味がない。これ以上奴らの思い通りにはならない様にはしたいが」
俺はタオルを畳みながらそう答える。
雪乃は「...どうにか出来たら良いですね。例えば警察とかに言える様になるとか」と言いながら洗濯物を畳む。
律儀に上着、ズボン、下着を。
「まあそれが一番なんだろうけどな。...ただ...何もしてないんだよな。奴らも。それに奴らはどんな力を持っているかも分からん」
「確かにですね。もし奴らがこの世界線をどうにかした奴らなら限りなくマズイですね」
「マズイというか。多分対応が出来ない。俺らは超能力者でも未来人でもないんだから」
「...ですね」
某アニメじゃない。
すると雪乃は正座している足元に洗濯物を置いてから考え込む。
俺は息を整えてから「雪乃。ありがとうな」と話した。
雪乃は顔を上げる。
「英二さん...?」
「いつもありがとう。なにもかもを一緒に考えてくれて。感謝してる」
「...英二さん。それは私のセリフです。いつもありがとうございます。英二さんがそばに居るからなにもかもが輝いて見えるんです」
「俺はそんなに輝いてるか?あはは」
「私が好きだった人ですから」
そう言う雪乃。
俺はその姿を見ながら洗濯物を積み重ねる。
それから分別した。
雪乃も洗濯物を分別する。
そして暫くして雪乃が俺の手を握った。
それから俺を見据えてくる。
俺は「?」を浮かべる。
雪乃は「大切にしてあげてね。美玖さんを。まあ英二さんなら多分大丈夫だろうけど」と言いながらゆっくり俺の手を触る。
俺はその事に雪乃を見る。
雪乃は微笑みながら俺を見てきた。
俺は雪乃のその小さな手を握り返す。
それから俺は「ああ」と力強く言った。
☆
英二さんは約束してくれた。
私に対して美玖さんを大切にしてくれると。
本当に私が選ばれなかったのは悲しいけど私自身はこれで満足がいく内容だった。
英二さんを見る。
「?...どうした?雪乃」
私に対して笑みを浮かべながら英二さんは優しく聞いてくる。
私はその姿に少しだけ赤面しながら「すいません。なんでもないです」と返事をしてからご飯を作る。
「...英二さん」
「ああ。どうした?」
「アイツらとまた会いますか?」
「暫くはいいかもな。もう疲れたよ正直言ってな。だから会いたくはないんだが」
「まあでも奴らが接触してくるでしょうね。多分」
「間違いなく接触はしてくるとは思う。規則は破るとは思うしな。平然と」
「...」
私はイラッとしながら「ですね」と返事をしながら歯を食いしばる。
そうしていると背後から英二さんが抱きしめてきた。
その事に「ちょっ」と慌てる私。
それから英二さんは「お前は大切な義妹だから。これぐらいは良いだろ」と話す。
「大切な義妹でも抱きしめるのは良くないですよ。英二さん。そういうのは美玖さんにしてあげてください」
「じゃあ今日だけするよ。いつもはやめとくからな」
優しく抱きしめられる。
その言葉に私は「もー」と言うが。
正直言って心地は良かった。
それから抱きしめてもらい続けたが。
なんだか悪い気がしてきたので引き離した。
「やっぱり駄目だよ。こういうのは美玖さんにしてあげて。私は良いから」
「...分かった。ありがとう」
「でも美玖さんに許可を貰ったら抱きしめても良いかなぁとは思う」
「どっちだよ。あはは」
私は苦笑しながら英二さんを見る。
英二さんはニコニコしながら苦笑していた。
これだけでも充分な幸せがあった。
私は英二さんにニコッとしながら幸せを噛みしめる。
☆
翌日になってから俺は起き上がる。
それから俺は表に...と思っていたら外から怒号が聞こえてきた。
まさかの事に俺は「!?」となる。
そして慌てて外に飛び出す。
するとそこに...露骨な怒りを見せる御剣と山口が居た。
「美鈴。何を考えているの。貴方は」
「私は常に祥子の幸せを考えている。貴方をつけ回したのは悪かったけど仕方がない」
「...」
状況が掴めないんだが。
そう考えながら「待てお前ら」と静止をした。
それから「どうした」と言う。
すると御剣が「私をつけ回してるんです。美鈴が」とキレた。
そして眉を顰める御剣。
「...つけ回すのはまあ仕方がないんじゃないかな。だって祥子は怖いし」
「誰のせいだって思っているんですか?貴方達でしょう。最悪ですね」
「...そうは言われても仕方がないけど私はあくまで貴方のやった事を聞いてね。最悪だって思った限りだから」
「だからってつけ回すなんて...」
「貴方のやった事はそれだけ衝撃的だった」
御剣に笑みを浮かべる山口。
それから山口は「優秀な貴方なら分かるよね?今の状況がマズイ事に」と脅かす様な言葉を発する。
俺は「...それこそストーカーになるぞ。お前も。完全な犯罪者だ」と言う。
「...」
「...去れ。お前は害悪だ。俺達に関わるな」
「全く。障害だね貴方は」
そう言ってから御剣を見る山口。
最後に俺に向いてから「私はストーカーじゃないよ。あくまで世界を良くしたいだけだから。...ね」と言ってから笑みを浮かべた。
それから去って行った。
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