第18話 御剣祥子という人間
☆
誕生日パーティーは雪乃の参戦により盛り上がり...夕方を迎えた。
それから俺達は帰る事にした。
美玖に俺は挨拶を、感謝の言葉を述べてから美玖の家を後にした。
そして帰宅する。
「ねぇ。お兄」
「?」
「どうして前世では御剣と結婚したの?良い事ないでしょ?」
「御剣と婚約したのは...自分が惚れたのが一番だが。彼女の人生が最悪だったから幸せにしてあげたいって思ったんだ」
「お兄は優しいね。本当に」
「優しいんじゃないぞ。ただ単に...幸せにはなりたかった。ただそれだけだ」
すると雪乃が俺に寄り添って来た。
それから俺に対して「じゃあ今回はお兄...英二さんを私達が幸せにしてあげるから」と雪乃は俺の手を握ってくる。
そして笑みを浮かべた。
「...雪乃...」
「...でも幸せにするにあたってなんだけどさ。前世の私ってどんな感じだったの?」
「お前は激怒してたよ。御剣に対してな」
「だろうね。そういう感じだろうって思ったけどね。今回でもきっと同じ事をするよ」
「そうなのか」
「私、絶対に許さないよ。そんな事をするヤツは」
雪乃から表情が消える。
冷めた様な表情になった。
俺はその姿を見てから雪乃の頭をぐしゃぐしゃにした。
それから俺達は歩いていると。
「こんにちは」
と声がした。
俺はハッとして後ろを見る。
そこに御剣が立っていた。
俺は御剣を見てから「ああ。御剣か」と声をかける。
雪乃が獣に牙をたてる様な感じになる。
「貴方は相変わらずおかしな人ですね。雪乃ちゃん」
「雪乃はお前をどうにも信頼出来ない様だ。だからお前を威嚇している」
「...何故信頼出来ないのでしょうか?」
「貴方は怖いから。だから威嚇している部分もあるんだよ」
「それは偏見じゃないですか?貴方も美玖さんもそうですけど完全なる偏見です。私は何も怖くないですよ」
御剣は死んだ様な目をする。
この目は本当に変わらないな。
コイツが浮気した時も同じ目をしていた気がするのだ。
だけどうっすらとしか覚えてないけど。
多分脳が拒絶反応を起こしている。
「なんのご用事ですか?御剣さん」
「...彼に誕生日プレゼントを持って来ました」
「そうなんですか」
「はい」
「...私が受け取って構いませんか?」
「何故貴方に渡さないといけないんですか?」
2人はそう言いながら互いに眉を顰める。
その中で御剣が「まあ」と言った。
それから御剣は「貴方に渡しても構いません。彼に届けばなんでも良いです」と話す。
そして包みを渡してくる御剣。
俺は「...」と考え込む。
「爆弾とかじゃないよな?」
「中身は変なものじゃないです。中身はアクセサリーですよ」
「そうか」
「ありがとうございます。受け取ってくれて」
それから御剣は頭を少しだけ下げてからそのまま踵を返す。
そして御剣は帰ろうとする。
その背中に「待って」と声をかける雪乃。
「あくまでこれだけは伝える。...兄の誕生日を祝ってくれて感謝はする」
まさかの言葉に俺は驚愕する。
それから雪乃を見る。
御剣は「...ですね。...お誕生日おめでとうございます。淀橋くん」と言ってから笑みを浮かべた。
「しゃあ私はこの辺りで」
それから御剣は歩いてから去って行った。
俺はその姿を見てから視線を外してから雪乃を見る。
雪乃は俺の視線に気が付いてない様な感じをしながら御剣を見ていた。
☆
因みにプレゼントの中身はマジに単なるアクセサリーだった。
爆弾でもなんでもない。
俺は拍子抜けした。
彼女の事だからきっと何かを仕掛けてくるものと思っていたのだが。
「英二さん」
そう俺に雪乃が声をかけてくる。
俺は「ああ」と返事をしながら雪乃を見た。
雪乃はアクセサリーを見ながら「...ごめんなさい」と言ってくる。
その言葉に俺は雪乃に向く。
「何がだ?」
「私...嫌味な女の子だよね。こうしてなにも無いのに御剣を威嚇したりして」
「仕方がない。過去が過去だから。だけど確かに今回の件で分かったけど警戒するべき点、しなくて良い点が明らかになったかもな」
「...だね」
雪乃は「...」となりながらアクセサリーにまた目を落とす。
そのアクセサリーはペンダントだった。
安くもなければ高くもない様なペンダントだ。
「英二さん」
「?」
「今と過去の分別をしないといけないよね。私。でも...どうしても許せない部分が強くて。私は嫌味な子だね」
「あくまで気持ちは分からんでもないな。俺も現実と過去の区別がついてない部分があるから」
「...倒すとは言ったけど私、彼女とはそれなりに話し合いをすべきじゃないかって思う。現実と過去は切り離して考えるべきじゃないかなって思い始めたよ」
雪乃は苦笑しながら俺を見る。
俺はその言葉に「確かにな」と返事をした。
それから俺はアクセサリーを見る。
そして元箱に仕舞った。
「なあ。雪乃」
「何?英二さん」
「...もし俺が御剣を許さないって言ったらどうするんだ」
「その場合は私は許さないよ。だけど反対に話し合いになるなら話し合いをするチャンスは与えても良いかもとは思う」
そう話しながら雪乃は俺を見てくる。
俺はその姿を見つつ「分かった」と返事をしてから俺はアクセサリーの箱を見ていると「プレゼントを渡すね」と雪乃が言った。
そう言えば雪乃からプレゼントを貰ってない。
どんなプレゼントなのだろう。
考えていると雪乃は何かを渡してきた。
「はい」
木製の小さなケースだ。
俺は「?」と思いながら「これは?」と聞いて開けてみる。
そこにあったもの。
それは明らかに普通の指輪ではない指輪が入っていた。
ブランド物の様な気がする。
この...感じは。
「...雪乃。まさかこれは」
「貯めたお小遣いが全部吹っ飛んじゃったけど婚約指輪だよ。これは今は英二さんに渡すね。英二さんが私で良いって思った時に私の左手の薬指に嵌めてね」
雪乃は赤くなる。
それから笑顔を浮かべた。
俺はその姿につい見惚れてしまう。
そして、いかんいかん、と首を振る。
相手は15歳の中学生だぞ。
良い加減にしないと駄目だ...こんな。
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