第6話 スタンプラリーだほぉおおおおおおおお!!!

 そして、最前列の子に紙の束を渡すと、それを後ろの人に手渡すように指示した。


 私も含めてみんな一枚ずつ取った。


 紙を見てみると、『希望楽園高校〜全校舎制覇スタンプラリー!!〜』とデカデカと書かれたタイトルが目に入った。


 スタンプラリー? スタンプラリーって、あのスタンプラリーか?


 ハンコにペッタンと紙に絵柄や模様のインクを付けるアレか?


 何それ最高じゃない! 


 私は小さい頃からそれには目がなかったんだ。


 特に駅前でポンッとするやつとかは、一日キップとか買ってひたすら回ったのを覚えている。


 あぁ、久しくやっていなかったから血が騒ぐぞ。


「ルールは簡単よ。下校時刻までに全ての校舎にあるスタンプ台を回ってください! もちろん、一人でもペアを組んでもいいわ。さぁ、行くがよい!」


 先生はビシッと決めポーズをした後、どこからともなく立派なスタンプ台をドンッと置いた。


「行く前に、第一校舎のスタンプを押してから出発してね〜! 何かあったら私の名前を呼んで教えてね! それじゃあ!」


 バニー先生はそう言うと、信じられないくらい高く飛び上がって去っていった。


 みんなは、突然始まったゲームにざわついていたが、最初の一人がスタンプを押すと、それに釣られて、一人また一人とポンポンと押していった。


 必然的に私とモブ美はペアとして行動する事になった。


「よし、全コンプリート目指そう! モブ美ちゃん!」

「うん、スバルちゃん!」


 もう私とモブ美は互いを『ちゃん付け』で呼ぶ仲になった。


 私達は最初のスタンプを押すと、スタンプの隣に置かれていた学校の全体の地図を取って、拡げて見た。


 どの校舎もある一定の距離がある。


 ちなみに、この学校は東京ドーム八個分の広さらしい。


 だから、全ての校舎を回るには何時間かかるか。


 最悪、放課後になっても終わらないかしれない。


 そうならないためにも、まずは一番効率的に巡れるかを考えないと。


 さて、どこに行こう。


 ここは一番遠い所から順に行った方が後々楽だね。


 その事をモブ美に伝えると、「いいね!」とニッコリスマイルで承諾してくれた。


 ただここから歩いていくと、五時間は越えると思うので、私はモブ美をおんぶしたまま全速力で駆けた。


この学校で一番遠い校舎は、実験棟だった。


 ここは危険な薬品や火薬を取り扱うため、他の校舎よりもセキュリティーが厳重だった。


 電流が流れるタイプの高い檻がグルっと囲っていた。


 私はモブ美をおろすと、正門と思わしき所に向かった。


 インターフォンみたいな所に、学生証とスタンプラリーの紙を見せたら自動で檻が開かれた。


 恐る恐る中に入る。


 どこもかしこも監視カメラが設置され、歩く度に警備ロボットとすれ違った。


「な、なんか……凄い所だね」

「そうだね……おっ、あった」


 鉄の門の近くに明らかに場違いなメルヘンチックなスタンプ台が置かれていた。


 さすがに、私達以外の人はまだ来ていなさそうだ。


 ポンポンっとスタンプを押す。


 うん、デフォルメされたロボットのスタンプ、可愛い。


「じゃあ、次の校舎へ――」


 行こうと言いかけた時、いきなりけたたましいサイレンが鳴った。


「な、なに?!」


 モブ美があたふたしている。


 私も何が何だか分からない。


 警備ロボット達が慌ただしく動き回っていた。


 が、私達が対象ではなさそうだ。


 校舎の前をズラリと待ち構えるように並んでいた。


 一体何があったのだろう――そう思っていた時。


「モブ美ぃいいいいいいい」


 何故かモブ美を呼ぶ声が聞こえてきた。


「あっ! この声……」


 どうやら彼女は聞き覚えがあるらしく、ハッとしたような顔をしていた。


 その直後、重力を受けたかのような衝撃が私の身体に襲いかかった。


 すると、ロボット達が次から次へと倒れていった。


 モブ美は口を開けて、アワワと怯えた表情をしていた。


「モブ美ちゃん、これは……」

「ほう、わらわの波動に気絶しない奴がいるとはのう。面白い奴じゃ」


 私が状況を確認しようとしたら、背後から古風な口調で話す声が聞こえてきた。


 振り返ると、前髪パッツンで、後ろ髪が扇形におろした女の子が物凄い形相で迫ってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る